社用車が増えたとき、減ったとき。そのたびにETCカードの枚数を調整するのが、地味に面倒です。
うちは今、法人クレジットカードに付帯するETCカードを3枚使っています。正確には4枚持っているのですが、車が1台減ったので1枚が宙に浮いた状態です。
調べていて分かったのは、法人のETCカードは2種類ではなく3種類あるということでした。そして3つ目は、比較サイトではあまり大きく扱われていません。
さらに言うと、走行量によっては、どれを選ぶかで年間20万円以上変わります。
この記事は、クレジットカード付帯型を実際に使っている立場から、残りの2つを調べて整理した記録です。
法人のETCカードは3種類ある
① クレジットカード付帯型
法人クレジットカードを作り、それに紐づくETCカードを発行してもらう方式です。うちはこれです。走行料金はクレジットカードの利用分として請求されます。
② 協同組合発行型
協同組合に加入して、組合経由でETCカードを発行してもらう方式です。クレジットカードではないので、カード会社の与信審査が発生しません。走行料金は組合がまとめて精算し、口座振替などで支払います。
「審査なし」「発行率No.1」といった宣伝を見かけるのは、こちらの方式です。
③ ETCコーポレートカード
高速道路会社(NEXCOなど)が発行するカードです。①②とは仕組みがまったく違い、大口・多頻度割引という料金割引を受けられます。走行量が多い会社にとっては、これが一番安くなります。
私はこの3つ目を、調べるまで知りませんでした。
クレジット付帯型を使っていて、良い点と面倒な点
良い点:走行料金に上乗せがない
協同組合型には走行料金に対する手数料がかかります。クレジット付帯型にはそれがありません。年会費はかかりますが、ETCカード1枚あたり無料〜数百円程度のものが多く、走行距離が伸びても増えません。
面倒な点:追加するたびに書類が要る
正直、これが一番のストレスです。車を1台増やすたびに、カードの追加申請で書類を用意することになります。1枚だけのために、また同じ手順を踏むのかと思うと気が重い。
そして、車が減るとカードが余ります
うちの今の状態です。使わないカードが1枚あって、年会費だけがかかっている。解約すればいいのですが、また増えるかもしれないと思うと踏み切れない。車両の増減がある会社では、枚数の調整が常につきまといます。
協同組合型の条件(実際の数字)
広告や比較サイトの表現ではなく、組合の公式サイトに載っている数字を確認しました。
| 項目 | 金額・条件 |
|---|---|
| 出資金 | 10,000円/1社(脱退時に返金) |
| カード発行手数料 | 880円(税込)/1枚 |
| 年間手数料 | 880円/1枚(年1回) |
| 事務手数料 | 毎月の走行料金に対して8% |
| クレジット審査 | なし |
| 発行枚数 | 登録車両1台につき最高4枚 |
必要な書類は次のとおりです。
- 履歴事項全部証明書(発行6か月以内。個人事業者は所得税確定申告書)
- カードを申請する車両の車検証(写し)
- 申請車両のETC車載器セットアップ証明書(写し)
- 代表者の運転免許証、住民票、健康保険証などの写し
⚠️ 協同組合型のデメリットは5つあります
「審査なしで作れる」という利点ばかりが目立ちますが、引き換えに手放しているものがあります。 順に書きます。
① 走行料金の8%が、ずっと乗り続ける
一番大きいのはこれです。走れば走るほど効いてきます。
| 月のETC利用額 | 8%の事務手数料(月) | 年間 |
|---|---|---|
| 5万円 | 4,000円 | 48,000円 |
| 10万円 | 8,000円 | 96,000円 |
| 20万円 | 16,000円 | 192,000円 |
年会費や発行手数料は「1枚いくら」なので上限がありますが、8%には上限がありません。 事業が伸びて走行が増えるほど、負担も増えます。
② クレジットカードのポイントが付かない
見落としやすい点です。クレジット付帯型なら、走行料金にもカードの還元が付きます。 協同組合型はクレジット決済ではないので、その分がまるごと消えます。
還元率0.5%のカードなら、月10万円の走行で月500円。8%の上乗せと合わせると、実質的な差は8.5%分という見方もできます。
③ 出資金1万円が、脱退するまで戻らない
返ってくるお金なので損ではありません。 ただし在籍している間はずっと預けたままです。脱退の手続きをして初めて戻ります。
④ 車両ごとの登録なので、車を替えるたびに手続きが要る
申し込みに車検証とETC車載器セットアップ証明書が要ります。つまりカードは車に紐づいています。 車を入れ替えたら、そのたびに書類を出し直すことになります。
「追加のたびに書類が要る」のは、クレジット付帯型だけの問題ではありません。
枚数も登録車両1台につき最高4枚まで。台数を超えて自由に持てるわけではありません。
⑤ 組合によって条件が違う
「協同組合型」とひとくくりにされますが、組合は1つではありません。 手数料の率も、年間手数料も、組合ごとに違います。
比較サイトが「協同組合型は8%」と書いていても、それはその組合の数字です。申し込む先の公式サイトで確認するしかありません。
クレジット付帯型にも、デメリットはあります
公平のために、自分が使っている方も書きます。
| デメリット | 中身 |
|---|---|
| 審査に落ちたら終わり | 事業が問題なく回っていても、設立が浅い・直近が赤字だと通らないことがある |
| カードの利用枠を食う | 高速代はカードの利用枠から出るので、他の支払いに使える枠が減る |
| 必要な枚数が出ないことがある | 審査に通っても、希望どおりの枚数が発行されるとは限らない |
| 車が減るとカードが余る | 年会費だけがかかる。うちが今そうです |
利用枠の話は、意外と効きます。 走行が多い月は、それだけカードの枠が埋まります。
3つ目:走行量が多いなら、コーポレートカードが一番安い
ここが今回いちばん調べ甲斐のあったところです。
ETCコーポレートカードは高速道路会社が発行するカードで、大口・多頻度割引が適用されます。NEXCO東日本の説明によると、割引率はこうなっています。
車両単位割引(1台あたりの、その月の高速国道の利用額で決まります)
| 1台あたりの月間利用額 | 割引率 | ETC2.0の事業用車両 |
|---|---|---|
| 5,000円超〜10,000円以下 | 10% | 20% |
| 10,000円超〜30,000円以下 | 20% | 30% |
| 30,000円超 | 30% | 40% |
協同組合型が8%を足すのに対して、こちらは最大30%を引きます。方向が逆です。
なお契約単位割引もありますが、こちらは月間の合計利用額が500万円超という条件なので、うちのような規模には関係ありません。
実際の金額で並べてみます
1台で月5万円(=3万円超なので30%の区分)を走る場合
| 月の負担 | 年間 | |
|---|---|---|
| クレジット付帯型 | 50,000円 | 600,000円 |
| 協同組合型(+8%) | 54,000円 | 648,000円 |
| コーポレートカード(−30%) | 35,000円 | 420,000円 |
| コーポレートカード(ETC2.0事業用・−40%) | 30,000円 | 360,000円 |
協同組合型とコーポレートカードの差は、年間228,000円です。1台でこれです。
ただし、走行量が少なければ差は縮みます。
1台で月8,000円(=5,000円超なので10%の区分)の場合
| 月の負担 | 年間 | |
|---|---|---|
| クレジット付帯型 | 8,000円 | 96,000円 |
| 協同組合型(+8%) | 8,640円 | 103,680円 |
| コーポレートカード(−10%) | 7,200円 | 86,400円 |
年間で1万7千円ほどの差にしかなりません。手続きの重さを考えると、この程度なら割に合わないかもしれません。
同じ「割引率」でも、走行量で答えが変わります。 ここを固定して語ると間違えます。
⚠️ コーポレートカードにも、はっきりした欠点があります
万能ではありません。 調べて分かった注意点を書きます。
- ETCマイレージサービスに登録できません。 公式にこう書かれています。大口・多頻度割引とマイレージは、どちらか一方です
- クレジットカードではないので、カードのポイントも付きません(協同組合型と同じ)
- カードは車両に紐づきます。 割引もカードに表示された車両で走ったぶんが対象です
- 高速道路会社と契約する方式なので、手続きはクレジットカードを1枚追加するのとは比べものになりません
- 1台あたり月5,000円以下だと、割引はゼロです
走行量が少ない会社が飛びつくものではありません。 逆に、毎月まとまった距離を走っているのに知らないままだと、確実に損をしています。
なぜ比較サイトであまり見かけないのか
正直に書きます。紹介しても紹介料が発生しないからだと思います。
協同組合型には紹介の仕組みがあり、この記事の下にもその案内があります。コーポレートカードには、それがありません。
だから「法人ETCカード おすすめ」で出てくる記事は、①と②の比較で終わりがちです。 私も調べるまで、3つ目があること自体を知りませんでした。
それでも協同組合型が必要になる会社があります
ここまで8%のデメリットを書いてきましたが、それでもこの方式でなければならない場合があります。
クレジットカードの審査が通らない、または通りにくい会社です。
- 創業して間もない会社(決算書がまだない)
- 直近の決算が赤字の会社
- 代表者個人の信用情報に不安がある場合
- カード会社から必要な枚数を出してもらえない場合
法人クレジットカードの審査は、会社の決算内容と代表者個人の信用の両方を見られます。事業として問題なく回っていても、設立から日が浅いというだけで通らないことがあります。
そして高速道路を使う仕事なら、ETCカードは「あれば便利」ではなく業務に必須です。カードが作れないから仕事が回らない、という状況は現実に起こります。
その場合、8%を払ってでも確実に発行できる方式には意味があります。**これは「割高な選択肢」ではなく、「他に手段がない会社のための選択肢」**という整理が正しいと感じました。
「審査なし」=「書類がいらない」ではありません
誤解しやすい点なので書いておきます。
協同組合型が「審査なし」と言っているのは、クレジットカード会社による与信審査がないという意味です。書類の提出は普通に必要です。 履歴事項全部証明書も車検証もセットアップ証明書も要ります。
「面倒な書類なしですぐ作れる」と期待すると、話が違うことになります。手間が消えるのではなく、審査に落ちるリスクが消える方式だと理解しておくのが正確です。
個人事業主・フリーランスでも作れます
ここまで「法人ETCカード」と書いてきたので、会社でないと作れないように読めるかもしれません。実際は違います。
ETC協同組合では、自営業やフリーランスでも申し込めることが明記されています。 名前が「法人ETCカード」なので誤解されやすいのですが、個人事業主も対象です。
違うのは提出する書類です。
| 主に出すもの | |
|---|---|
| 法人 | 履歴事項全部証明書(登記簿謄本) |
| 個人事業主(申告済み) | 直近の確定申告書の控え |
| 開業したばかり | 開業届や契約書類の写しなど |
出資金は1事業者につき1万円で、これは法人でも個人事業主でも変わりません(複数枚・複数種類を作っても1万円)。
そして正直なところ、この方式が一番効くのは個人事業主かもしれません。
個人事業主の場合、そもそも法人向けカードの土俵に上がれないことがあります。 開業したてで確定申告がまだ1回も終わっていない、という段階なら、なおさらです。開業届を出すかどうかの段階なら、そもそも出せる書類がありません。
それでも高速道路は使う。 現場に行く仕事なら、ETCカードがないと話が始まりません。「審査が不安な会社のための選択肢」と書きましたが、開業したての個人事業主にとっては、選択肢というより現実的な入口だと思います。
まとめ:3つの分かれ道
調べ終えて、判断の順番はこうなりました。
① まず、1台あたり月にいくら走るかを見る
1台で月3万円を超えているなら、コーポレートカードを検討する価値があります。 30%引きは、他のどの要素よりも大きい。手続きの重さと、マイレージが使えないことと引き換えです。
② 走行量がそこまでではなく、審査が通るなら → クレジットカード付帯型
走行料金への上乗せがなく、カードの還元も付きます。追加のたびに書類が要るのは面倒ですが、その手間はコストに見合います。うちはこれを続けます。
③ 審査が通らない、必要な枚数が出ない、または個人事業主で法人カードの土俵に上がれない → 協同組合型
8%はたしかに重い。ただ、カードがなくて仕事が止まるよりはるかにいい。 事業が育って審査に通るようになったら、そのとき乗り換えればいい。出資金は脱退時に返ってきます。
③に当てはまる場合は、こちらから条件の確認と申し込みができます。法人でも個人事業主でも申し込めます。
どれが優れているかではなく、走行量と審査の通りやすさで答えが変わる話でした。そして3つ目を知らないまま①と②で決めていたのが、調べる前の自分です。
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この記事について
本記事は、公開時点で各社・各組合・各高速道路会社が公表している情報と、筆者自身の利用経験をもとに整理したものです。手数料・割引率・条件は変更されることがあり、また協同組合は複数あって条件がそれぞれ異なります。 会社の状況によって審査結果や適した選択肢も変わります。お申し込みの際は、必ず各社の公式サイトで最新の条件をご確認ください。
参考にした情報
- ETC協同組合 法人ETCカード(出資金・手数料・必要書類・発行枚数)
- NEXCO東日本 高速道路の大口・多頻度割引(車両単位割引・契約単位割引の割引率)
- ETCマイレージサービス よくある質問(コーポレートカードが登録対象外であること)