うちは社用車1台につき、ガソリンカードを2種類持たせています。ENEOS(エネオス)系と出光系です。
なぜ2枚も必要なのか。そして、そもそもなぜクレジットカードではなく専用のガソリンカードを使っているのか。燃料費は会社の経費の中でも削りにくい部類なので、ここは真面目に調べて選びました。
この記事は、法人ガソリンカードを実際に使っている立場から、良かった点と、正直に不便な点を整理したものです。結論から言うと、向いている会社と向いていない会社がはっきり分かれます。
先に、いちばん聞かれることの答えを書きます。
| 知りたいこと | 答え |
|---|---|
| 出光やENEOSの法人カードで、ガソリンは安くなるのか | ⚠️ 「契約価格」型のカードなら安くなる可能性があるが、値引き額は発行店との取り決め次第で公表されていない。 「店頭価格」型は安くならない |
| 個人向けカードのような「2円/L引き」「最大7円/L引き」は法人カードにあるのか | 元売り系の法人カードの公式ページには、その形の値引きは書かれていません |
| うちが使っている協同組合のカードは何が違うのか | **発行店との交渉ではなく、組合が全国の相場をもとに決めた「組合価格」**で入れられる |
⚠️ つまり「出光の法人カードだから安い」「ENEOSだから安い」ではなく、「どの価格の決まり方のカードか」で決まります。 詳しくは次の見出しで、公式ページの記載をそのまま並べます。
法人ガソリンカードとは何か
給油専用のカードです。法人クレジットカードで給油する方法もありますが、別物です。
大きな違いは価格の決まり方にあります。クレジットカードは「そのスタンドの店頭価格」で払うのに対し、協同組合が発行するガソリンカードは、組合が決めた価格で給油できます。
うちが使っているのは、この協同組合が発行するタイプです。クレジットカードではないので、カード会社の与信審査がありません。
出光・ENEOSの法人カードは、店頭価格か、契約価格か
「出光 法人カード ガソリン価格」「エネオス 法人カード ガソリン価格」で検索してここに来る人が多いので、元売り系の法人カードの価格の決まり方を、公式ページの記載で並べます。
| カード | 給油価格(公式ページの記載) | 年会費 |
|---|---|---|
| 出光Bizカード ワン | 発行店との契約価格。「カード発行したSSであらかじめ取り決めた契約価格で給油できます」 | 無料 |
| 出光Bizカード プラス | 発行店との契約価格で、全国のカード取扱apollostationで給油可 | 無料 |
| apollostation BUSINESS | ⚠️ 公式ページに契約価格・値引きの記載なし。「社用車の給油や整備を明細書で一括管理できるカード」 | — |
| ENEOS BUSINESS | 発券店と取り決めた契約価格で、全国のENEOSサービスステーションで利用可 | 入会金・年会費なし |
| ENEOS BUSINESS II | ⚠️ 店頭価格。「ガソリン・軽油が店頭価格でご利用可能」 | 入会金・年会費なし |
見えてくるのは、こういう構造です。
- 🚩 安くなるのは「契約価格」型だけ。出光Bizカード(ワン・プラス)とENEOS BUSINESSがこれです
- ⚠️ 契約価格は、カードを発行した近所のスタンドと取り決める価格です。いくら安くなるかは公表されておらず、発行店と自社の給油量次第。つまり全国一律の値引きではなく、交渉です
- 「店頭価格」型(ENEOS BUSINESS II)と、価格の記載がないapollostation BUSINESSは、安くするためのカードではなく、明細で車両ごとの給油を管理するためのカードです
- ⚠️ どちらも高速道路内のスタンドは店頭価格になります(出光・ENEOSとも公式ページに注記)
個人向けの出光カードやENEOSカードにある「いつでも2円/L引き」「利用額に応じて最大7円/L引き」のような書き方は、法人カードの公式ページには見当たりませんでした。 法人向けは「値引き」ではなく「契約価格」という別の考え方です。
そして、うちが使っている協同組合のカードは、この2つのどちらでもありません。 発行店と交渉するのではなく、組合が全国の相場をもとに決めた価格で入れられます。次の見出しで、なぜそれを選んだかを書きます。
なぜ入れたか:「全国平均の価格」で入れられるから
これが導入した最大の理由です。
組合のカードは、**毎月算出される「組合価格」**で給油できます。目の前のスタンドの看板価格とは連動しません。
そして私が加入している組合の場合、この組合価格は全国的な相場をもとに決まります。 これが効きました。
ここが重要です。
ガソリンの小売価格には、都道府県によってはっきりした差があります。 同じ日に給油しても、安い県と高い県ではリッターあたり20円以上違うことも珍しくありません。輸送コストや競争環境の違いによるものです。
つまり、こうなります。
- 地元の相場が全国平均より高い地域 → 全国平均で入れられるので得をする
- 地元の相場が全国平均より安い地域 → 恩恵は小さい
私の会社がある地域は燃料価格が高い方で、実感としてリッターあたり20〜30円ほど安く入れられています。 月に何百リットルも使う会社なら、この差は無視できません。
ただしこれは私の地域・時期での話です。金額は相場によって変わりますし、地域が変われば結果も変わります。
正直に書きます:地元が安い地域なら、入れる意味は薄い
ここは、比較サイトではまず書かれない部分だと思います。
全国相場をもとに価格が決まるということは、地元がもともと安い地域では差が出ないということです。それどころか、タイミングによっては店頭価格の方が安いということも起こり得ます。
「法人ガソリンカードは安い」という説明をよく見かけますが、正確には**「地元の相場より安いかどうか」で決まる**話です。全国どこでも一律に得をする仕組みではありません。
導入を考えるなら、まず自分の地域のガソリン価格が全国平均と比べて高いか安いかを確認するのが先です。ここが安い地域なら、正直そこまで急ぐ話ではありません。
調べていて驚いたこと:価格の決め方は、公表されていない
これは自分で調べて初めて気づいた点です。
「組合価格」がどう決まるのかを公表している組合は、ほとんどありません。 各組合のサイトを見ても「毎月末に算出する組合価格」といった書き方にとどまり、全国平均をもとにするのか、店頭価格から割り引くのか、その仕組みまでは書かれていません。
私は自分が加入している組合の仕組みは分かっていますが、それが他の組合でも同じとは限りません。 組合ごとに違う可能性が高いと思っています。
比較サイトはどこも「安くなる」と書きますが、肝心の「なぜ安くなるのか」「どういう条件で安くなるのか」には触れていません。 ここが分からないままだと、自分の地域で本当に得なのか判断できません。
なので、検討するなら申し込む前に、その組合に直接聞くべきです。
「組合価格はどうやって決まりますか。全国平均ですか、それとも店頭価格からの割引ですか」
この一言を聞くだけで、自分の地域で得かどうかの見当がつきます。 遠慮する必要はありません。答えられない組合なら、それも判断材料になります。
一番の弱点:使えるスタンドが限られる
これが実際に使っていて一番不便な点です。
ガソリンカードは系列が決まっています。 出光系のカードなら出光・アポロステーション・昭和シェルで、ENEOS(エネオス)系ならENEOSで、という具合です。他系列のスタンドでは使えません。
店舗数だけ見れば「全国に何千店」と書かれていますが、**問題は総数ではなく「自分が走る範囲にあるかどうか」**です。日常的に通る道沿いに対応スタンドがなければ、意味がありません。
だからうちは2種類持っています。 ENEOS系と出光系の両方を持たせて、どちらかが必ず使える状態にしてあります。
そしてこれが、正直めんどうです。
- 車1台につきカードが2枚。管理する枚数が倍になる
- ドライバーは「このスタンドはどっちのカードか」を意識する必要がある
- 明細も2系統に分かれる
1枚で済むならそれに越したことはありません。それでも2枚にしているのは、給油できないリスクの方が困るからです。
費用面(実際の条件)
先に断っておくと、私が加入しているのは、ここで条件を紹介する組合とは別の組合です。 協同組合系のガソリンカードは複数の組合が扱っていて、仕組みは同じでも条件は組合ごとに違います。
ここでは、条件を公開している組合の例として挙げます。実際に検討するときは、必ず自分が加入する組合の条件を確認してください。
| 項目 | 条件 |
|---|---|
| 出資金 | 1万円/1社(退会時に返金) |
| カード発行手数料 | 無料 |
| 年会費 | 無料 |
| クレジット審査 | なし(ただし組合規定の審査あり) |
| 使える系列 | 出光・アポロステーション・昭和シェル 約6,400店舗 |
出資金は預けるお金で、やめるときに返ってきます。 年会費も発行手数料も無料なので、持っているだけでコストが増えるカードではありません。
なお、同じ組合で法人ETCカードも作る場合、出資金は合わせて1事業者あたり1万円です。二重には要りません。
「法人」と付いていますが、個人事業主も作れます
名前が「法人ガソリンカード」なので誤解しやすいのですが、ETC協同組合は法人と個人事業主の両方が対象です。会社でなくても申し込めます。
違うのは書類だけです。
| 必要な書類 | |
|---|---|
| 法人 | 履歴事項全部証明書(コピー可・6か月以内)+ 代表者の身分証明書 + 車検証 |
| 個人事業主 | 確定申告書の写し + 代表者の身分証明書 + 車検証 |
出資金1万円も、法人か個人事業主かで変わりません。
そして、この種のカードは個人事業主の方が必要度が高いかもしれません。
法人向けのクレジットカードは、会社の決算と代表者の信用で審査されます。個人事業主は、そもそもその土俵に上がりにくい。 一方で、車で現場を回る仕事なら燃料費は経費の中で大きな塊です。
現金で払って領収書を集める運用を続けているなら、ここが一番変わります。 給油のたびに立て替えて、後で精算して、レシートを貼って——という手間が、明細1本にまとまります。記帳を自分でやっているなら、この差は毎月効いてきます。
向いている場合・向いていない場合
使ってみて、判断基準ははっきりしました。法人でも個人事業主でも、見るところは同じです。
向いている
- 燃料費が経費の中で大きな割合を占めている(走行距離が長い、車両が多い)
- 地元のガソリン価格が全国平均より高い
- 走る範囲に対応スタンドがある
- 現金やドライバーの立替をやめて、経費処理をまとめたい
向いていない
- 車が1〜2台で、走行距離も少ない
- 地元のガソリン価格がもともと安い
- 対応系列のスタンドが近くにない(遠回りしてまで入れるなら本末転倒です)
まとめ
うちの場合、導入して正解でした。 燃料価格が高い地域で、車を日常的に走らせているという条件が揃っていたからです。リッターあたりの差が、そのまま毎月効いてきます。
ただ**「法人ガソリンカードは安い」という一言で語れる話ではありません。** 得をするかどうかは、地域の相場と走る範囲に対応スタンドがあるかの2つでほぼ決まります。
検討するなら、この順番で確認するのが早いはずです。
- 自分の地域のガソリン価格は、全国平均より高いか安いか
- 日常的に通る道に、対応系列のスタンドがあるか
- その組合に「組合価格はどう決まるか」を直接聞く
- 燃料費は、コストを削る価値があるほどの規模か
1と2でつまずくなら、無理に入れる必要はありません。逆に両方クリアするなら、年会費も発行手数料もかからないので、試してみる価値は十分にあります。
条件の確認と申し込みはこちらからできます。
よくある質問
Q. 出光の法人カードでガソリンは安くなりますか?
A. 出光Bizカード ワン・プラスは「発行店との契約価格」で給油できます。 いくら安くなるかは発行したスタンドとの取り決め次第で、公表されていません。apollostation BUSINESSの公式ページには契約価格・値引きの記載がありません。
Q. ENEOSの法人カードの給油価格はどう決まりますか?
A. ENEOS BUSINESSは発券店と取り決めた契約価格、ENEOS BUSINESS IIは店頭価格です。 同じENEOSでもカードで違います。
Q. 元売り系の法人カードと、協同組合のガソリンカードはどう違いますか?
A. 価格の決め方が違います。 元売り系は「発行店との契約価格」か「店頭価格」、協同組合は「組合が全国の相場をもとに決めた組合価格」です。地元の相場が高い地域ほど、組合価格の恩恵が出やすくなります。
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会社の実務で、同じように自分で調べて整理したものです。
この記事について
本記事は、公開時点で各組合が公表している情報と、筆者自身の利用経験をもとに整理したものです。出光・ENEOSの法人カードの価格の決まり方は、2026年9月時点の各社公式ページの記載にもとづきます。価格差の実感は筆者の地域・時期におけるものであり、同じ結果を保証するものではありません。 ガソリン価格は地域と時期によって変動します。手数料や提携店舗、申込条件は変更されることがありますので、お申し込みの際は必ず各組合・各社の公式サイトで最新の条件をご確認ください。
参考にした情報
- ETC協同組合 法人ガソリンカード(出資金・手数料・提携系列・必要書類)