仕事で使う車を、私は個人で買いました。 そして5年乗ったあと、会社に売却しました。

結論から書きます。最初から会社で買っておけばよかったと思っています。

車を「個人で持つか、会社で持つか」は、経営者だけが迷う問題です。会社員には選択肢がありません。そしてこの判断は、5年10年単位で効いてきます。

同じところで迷っている方のために、自分の失敗と、その後に調べたことを整理しておきます。

なぜ個人で買ってしまったのか

当時の考えは単純でした。

「自分が乗る車だから、自分で買うものだろう」

新車で買って、そのまま仕事に使っていました。会社で買うという発想が、そもそもありませんでした。 経理も税務も、当時はまだ自分で深く見ていなかったので、比較すらしなかったというのが正直なところです。

何が違ったのか:個人のお金は「税引後」

いま振り返ると、一番の違いはここでした。

個人で車を買うということは、役員報酬として受け取ったお金で買うということです。

役員報酬は、受け取る時点で所得税・住民税・社会保険料が引かれています。その残りで車を買っています。

一方、会社で買えば、

  • 車両代は減価償却として、数年に分けて経費になる
  • ガソリン代・自動車保険・車検・自動車税・修理代も、会社の経費にできる

つまり同じ車に乗っていても、個人で持つと、これらすべてを税引後のお金で払い続けることになります。

私は5年間、それをやっていました。5年分の経費計上を、まるごと取り逃がしたことになります。

5年後に会社へ売るとき、注意が必要だった

「では今から会社に売ろう」と考えたわけですが、ここで知っておくべきことがありました。

安く売れば得、ではありません。

個人が法人に資産を譲渡する場合、時価の2分の1未満の価格で売ると、時価で売ったものとみなして課税されるという規定があります(みなし譲渡)。無償で渡した場合も同じです。

さらに、時価の2分の1以上で売った場合でも、同族会社の行為計算の否認に該当すると判断されれば、同様に扱われる可能性があるとされています。

つまり 「会社に安く譲って経費にしよう」という発想は通用しません。 適正な価格で売る必要があります。

私の場合は査定額を根拠にしましたが、この手続きは自己流でやらない方がいいと強く思いました。金額の妥当性を後から説明できる状態にしておく必要があります。

会社で買うなら、中古という選択肢がある

これは調べていて知ったことです。

中古で買うと、耐用年数が短くなります。 つまり、同じ金額でも早く経費にできるということです。

国税庁が示している「簡便法」での計算は次のとおりです。

法定耐用年数の一部を経過した資産

(法定耐用年数 - 経過年数)+ 経過年数 × 20%

法定耐用年数の全部を経過した資産

法定耐用年数 × 20%

いずれも1年未満の端数は切り捨て2年に満たない場合は2年とされます。

たとえば法定耐用年数6年の車を4年落ちで買った場合、
(6 − 4)+ 4 × 0.2 = 2.8 → 端数を切り捨てて2年

新車なら6年かけて経費にするところが、2年で済む計算になります。よく「4年落ちの中古車が有利」と言われるのは、この仕組みによるものです。

ただし注意点があります。その中古資産を使えるようにするために支出した金額が、取得価額の50%を超える場合は、この簡便法が使えません。 直して乗るつもりなら、ここは確認が必要です。

私は新車で買いました。 中古という発想もありませんでした。

リースという3つ目の選択肢

いま検討しているのがこれです。

実はうちでは、パソコンなどはリースを使っています。 使ってみた実感として、資金繰りの面ではリースはアリだと思っています。

  • まとまった現金が出ていかない
  • 毎月の金額が一定なので、見通しが立つ
  • 管理の手間がまとまる

車の場合はさらに、車検・自動車税・整備がリース料に含まれる形にできるものもあります。経理の手間がそのまま減るのは、自分で経理をやっている身としては小さくない利点です。

一方で、正直に書いておくべき点もあります。

  • 支払総額で見ると、買うより高くなることが多い
  • 途中解約がしにくい(違約金が発生する)
  • 走行距離に上限がある契約が多い
  • 最後に自分のものにならない場合がある

つまり 「総額の安さ」で選ぶならリースは不利です。「現金を残したい」「手間を減らしたい」で選ぶなら合理的、という整理になります。

車のリースはまだ導入していないので、これは調べた範囲の話です。ただ、パソコンで使っている感覚からすると、車でも同じ判断軸になるだろうと考えています。

個人名義でリースを検討する場合

ここまでは会社で契約する前提で書いてきました。ただ、個人事業主の方には、そもそも「会社で持つ」という選択肢がありません。 事業で使う車を個人名義で持ち、事業で使った割合に応じて経費にするのが基本になります。

その場合は、個人向けのカーリースも選択肢に入ります。車検や整備がリース料に含まれるものを選べば、上に書いた「事務がまとまる」という利点はそのまま得られます。 私が経理の手間を減らしたいと考えているのと、同じ理由です。

なお法人契約が可能かどうかは会社によって異なるので、法人で検討する場合は、契約できるかを先に確認してください。

結局、どう選べばいいのか

自分の失敗を踏まえると、判断はこうなると思います。

状況 向いている持ち方
仕事で使う車である まず会社で持つことを検討する(個人で買う理由がない)
現金に余裕があり、節税を重視する 会社で中古車を買う(耐用年数が短く早く経費化できる)
現金を手元に残したい リース
経理・管理の手間を減らしたい リース
完全に私用の車 個人で持つ(会社で持つと私用部分の按分が必要になります)

私が間違えたのは、一番上の行でした。仕事で使う車なのに、比較もせずに個人で買っていました。

これから買う人へ

伝えたいことは1つだけです。

「自分が乗る車だから自分で買う」と、反射的に決めないでください。

仕事で使うなら、まず会社で持つ場合と比べる。それから買うか、リースかを考える。この順番を踏むだけで、5年後の結果がかなり変わります。

私は5年分を取り逃がしました。金額にすればそれなりの差になっているはずです。気づいたのは、自分で経理を見るようになってからでした。

なお、会社で持つ場合も私用が混ざれば按分が必要になりますし、個人から法人への売却は上に書いたとおり価格の妥当性が問われます。動く前に税理士に相談してください。 私は順番を間違えたので、なおさらそう思います。

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この記事について

本記事は、公開時点で国税庁が公表している情報と、筆者自身の経験および検討内容をもとに整理したものです。減価償却や譲渡の取扱いは、資産の状況や使用実態によって結論が変わります。 特に個人から法人への譲渡は価格の妥当性が問われるため、必ず顧問税理士にご相談ください。制度は改正されることがありますので、最新の情報は公式サイトでご確認ください。

参考にした公式情報