12月は、会社のお金が一番動く月です。 冬の賞与、賞与にかかる社会保険料、年末年始で止まる入金、そして年明けすぐの納税。

「12月は資金が要る」のは分かっていても、何がいつ、どの順番で出ていくかを1枚に並べたことがありませんでした。 今回、これまで書いた記事を横に並べて、12月から1月にかけて出ていくお金を整理しました。

⚠️ 調べて分かったのは、賞与そのものより、賞与の「後」に来る支払いのほうが見落とされやすいということでした。

先に答えを書きます

いつ 何が出ていくか 見落としやすい点
12月 冬の賞与 賞与額に加えて、会社負担の社会保険料が翌月に来る
12月〜1月 年末年始の入金ずれ 銀行と取引先が休むので、月末入金が年明けにずれる
1月20日 源泉所得税(納期の特例) 7〜12月分をまとめて納める。賞与の源泉分も入っている
1月末 賞与の社会保険料 12月に賞与を払った場合、翌月末に社会保険料がまとめて引き落とされる
決算期による 消費税の中間納付 決算月から半年後などに来る。12月決算の会社は夏、3月決算は11月に来ている

12月に賞与を払った会社は、1月に「源泉所得税」と「社会保険料」の2つが続けて来ます。 順に書きます。

賞与は「額面」で終わりません

賞与を払うと、会社が払うのは賞与の額面だけではありません。 賞与の社会保険料には上限があると書きましたが、その社会保険料には会社負担分があります。健康保険・厚生年金・雇用保険の会社負担を合わせると、おおむね賞与額の15%前後が会社側の追加コストです。

⚠️ この会社負担分は、賞与を払った月ではなく、翌月に引き落とされます。 12月に賞与を払えば、1月末に「社員負担分+会社負担分」がまとめて口座から出ていく。12月の残高だけ見て安心していると、1月末で足りなくなる構造です。

役員の賞与は別の話です。事前確定届出給与として届け出た日と額でしか払えないので、12月に「今年は儲かったから役員にも」はできません。社員の賞与だけが12月の変数です。

年末年始は、入金が1週間ずれます

12月末が入金日の取引先は、年末年始の休みで実際の入金が年明けにずれることがあります。銀行も休みます。「12月末に入る予定」を12月の資金繰りに入れていると、1月の第1週に穴が開きます。

⚠️ 逆に、支払いのほうは待ってくれません。 12月末の支払いは12月末(またはその前の営業日)です。入金は遅れ、支払いは遅れない。 年末年始はこの非対称が一番出る時期です。

手形や電子記録債権で受け取っているなら、期日が年末年始にかかるものは決済日を確認しておく。請求書のカード払いを使えば支払いを1か月ずらせる、と書いたのはこういう月のためでした。

1月20日に、源泉所得税が半年分まとめて来ます

社員が10人未満で「納期の特例」を使っている会社は、源泉所得税を半年に1回まとめて納めています。国税庁の説明では、

この特例の適用を受けていると、その年の1月から6月までに源泉徴収した所得税および復興特別所得税は7月10日、7月から12月までに源泉徴収した所得税および復興特別所得税は翌年1月20日が、それぞれ納付期限となります。

⚠️ この「7〜12月分」には、12月の賞与から源泉徴収した所得税も入ります。 毎月の給与分に賞与分が上乗せされた額が、1月20日に一括で出ていく。半年に1回なので金額が大きく、賞与の月を挟むとさらに大きい。 納期の特例の記事で書いた仕組みが、12月と1月で一番効きます。

消費税の中間納付は、決算月で時期が違います

消費税の中間納付は、前年の消費税額によって年1回・3回・11回と回数が変わり、時期は決算月で決まります。 3月決算なら年1回の中間納付は11月末、12月決算なら8月末。12月に来る会社と来ない会社があるので、自社の決算月で確認します。

⚠️ どの時期に来るにせよ、中間納付は「前年実績ベース」なので、今年の売上が落ちていても前年並みの額を先に払います。 資金が苦しい年ほど重く感じる仕組みです。払えないときは納税の猶予という制度がある、と別の記事に書きました。滞納する前に相談するのが順番です。

12月に足りなくなりそうなら、順番はこうです

「足りないかもしれない」と思ったら、順番を決めておきます。

  1. 12月と1月の出金を、日付で1枚に並べる——賞与、1月20日の源泉、1月末の社会保険料、月末の支払い
  2. 年末年始でずれる入金を、1月に置き直す——12月末予定の入金を12月に数えない
  3. 支払いをずらせるものを先に使う——請求書のカード払いで1か月、手形の割引は最後
  4. 借りるなら、順番は決まっている——事業資金を借りる順番で書いたとおり、公的なところから
  5. 納税が間に合わないなら、先に相談——納税の猶予は滞納してからでは使いにくい

⚠️ 1番が全部の前提です。 12月の残高が足りるかどうかは、1月末まで並べないと分かりません。賞与を払った瞬間の残高で判断しない。

私が確認すること

⚠️ うちの資金繰りの数字は書きません。 確認する順番だけ書きます。

  1. 冬の賞与の額面に、会社負担の社会保険料(15%前後)を足した額を、1月末の出金に置く
  2. 1月20日の源泉所得税を、7〜12月の給与と賞与から計算しておく——納期の特例を使っているなら
  3. 年末年始にかかる入金・支払いの日付を、銀行の営業日で確認する
  4. 消費税の中間納付が12〜1月に来るかを、決算月で確認する
  5. 足りない月があれば、支払いをずらす手段と借りる先を先に決めておく

⚠️ 1番と2番は、12月に賞与を払った会社なら必ず来る出金です。 予想ではなく確定しています。確定している出金を先に置いてから、残りを考える。 それだけで、1月末の「あれ、足りない」はなくなります。

まとめ

  • 12月は賞与の月だが、賞与の「後」に来る支払いのほうが見落とされる
  • 🚩 賞与の会社負担分の社会保険料(おおむね15%前後)は、翌月末に引き落とされる
  • 年末年始は入金が年明けにずれ、支払いはずれない
  • ⚠️ 納期の特例なら、1月20日に7〜12月分の源泉所得税が一括で来る。賞与分も含む
  • 消費税の中間納付は決算月で時期が違う。前年実績ベースなので売上が落ちても額は変わらない
  • 12月と1月の出金を1枚に並べる。賞与を払った瞬間の残高で判断しない

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この記事について

本記事は執筆時点(2026年9月)に国税庁が公表しているNo.2505 源泉所得税及び復興特別所得税の納期の特例と、当ブログの各記事で引用した公的資料にもとづいて書いています。筆者は税理士でも社会保険労務士でもありません。

⚠️ 社会保険料の会社負担割合は、健康保険の都道府県別料率、厚生年金、雇用保険の業種別料率によって変わり、「15%前後」は目安です。 納付期限は休日の扱いで前後します。消費税の中間納付の回数と時期は前年の税額と決算月で決まります。

自社の資金繰りや納付スケジュールについては、必ず顧問税理士・社会保険労務士・取引金融機関にご確認ください。 本記事は一般的な情報提供であり、個別の判断を示すものではありません。