うちは消費税の中間納付をしています。

そして納税資金を、別に用意していません。 納付書が来たら、普段の口座から払っています。

この記事を書くために調べて、知らなかったことがひとつありました。

業績が落ちた年は、中間納付の額を計算し直して申告できます。 前期の実績で決まった額を、そのまま払わなくてもいい。私はこれを知りませんでした。

消費税の中間納付は、前期の実績で決まります

まず仕組みです。中間納付の額は、今期の業績とは関係ありません。

国税庁によると、直前の課税期間の消費税の年税額が48万円を超えると、中間申告が必要になります。

直前の課税期間の確定消費税額 中間申告の回数 1回あたりの額
48万円以下 原則不要(任意の中間申告制度あり)
48万円超〜400万円以下 年1回 前期の確定消費税額の6/12
400万円超〜4,800万円以下 年3回 3/12
4,800万円超 年11回 1/12

⚠️ ここで一つ、間違えやすい点があります。

この48万円は、国税分だけの金額です。地方消費税は含みません。

消費税は国税と地方消費税を合わせて納めているので、「うちは年間48万円も払っていない」と思っていても、対象になっていることがあります。 逆に、実際に納める中間納付額には地方消費税も乗ります。

法人は前事業年度、個人事業者は前年の実績が基準です。期限は課税期間によって違うので、届いた納付書か税務署の案内で確認してください。

⚠️ 申告しなくても、納税義務は消えません

これは知っておいたほうがいいと思います。

国税庁の説明には、こう書かれています。

中間申告書をその提出期限までに提出しない場合には、中間申告書の提出があったものとみなされ、直前の課税期間の実績により計算した消費税額が直ちに確定

放っておくと、前期の実績で自動的に確定します。

「申告していないから払わなくていい」ではありません。むしろ逆で、何もしないと前期実績の額で決まってしまうということです。

業績が落ちた年ほど、重くなります

ここが資金繰りに効いてくるところです。

中間納付の額は、前期の実績で決まります。 ということは――

去年が良くて、今年が悪い年。 このとき払うのは、去年の実績で計算された額です。

今年の売上が落ちていても、額は変わりません。 手元が苦しい年に、良かった年の水準で納めることになります。

しかも消費税は、赤字でも発生します。 法人税は利益が出なければかかりませんが、消費税は違います。売上に対してかかる預かり分から、仕入れ等にかかった分を引いて納めるものなので、赤字の年でも納税が発生します。

資金繰りとして一番きついのは、ここだと思います。

知りませんでした:仮決算という方法があります

そして、その状況に対する制度が用意されていました。

仮決算による中間申告です。

国税庁の説明では、こうなっています。

当期の業績が悪化しているような場合などには、各中間申告対象期間を一課税期間とみなして仮決算を行い、これに基づいて計算した消費税額及び地方消費税額により中間申告・納付ができます

国税庁

つまり、前期の実績ではなく、その期間の実際の業績で計算して申告できます。

売上が落ちていれば、中間納付の額も落ちます。 前期の実績で決まった額を、そのまま払う必要はありません。

私はこれを知りませんでした。 納付書が来たら、書いてある額を払うものだと思っていました。

⚠️ ただし、いいことばかりではありません

① マイナスでも還付は受けられません。

仮決算で計算した結果、税額がマイナスになったとします。それでも中間申告で還付は受けられません。中間申告税額は「0」になるだけです(国税庁)。

戻ってくるのは、確定申告のときです。

② 手間がかかります。

「仮決算を行い」というのは、その期間について、実質もう一度決算をするということです。帳簿を締めて、消費税額を計算し直す。 税理士に頼んでいるなら、その分の費用も出ます。

③ 期限に間に合わなければ、前期実績で確定します。

上に書いたとおり、**提出しなければ「提出があったものとみなされ」**ます。やるなら期限までに、という前提つきです。

つまり「業績が落ちた年に、手間とコストをかけてでも下げる価値があるか」という判断になります。落ち方が大きい年ほど、やる価値があるという話でした。

そもそも、消費税は預かっているお金です

ここからは、自分に都合の悪い話です。

消費税は、売上と一緒に入ってきます。 請求書には本体価格と消費税が並んで書いてあって、振り込まれるのは合計額です。

だから、自分の売上に見えます。

でもその一部は、預かっている分です。仕入れや外注にかかった消費税を引いた残りを、あとで納めることが決まっているお金です。

私は、それを別に置いていません。 普段の口座に入れたまま、納付書が来たら払っています。

つまり、いったん使っているということです。

回っているうちは問題になりません。問題になるのは、資金繰りが厳しい時期に納付書が来たときだけです。そしてそれは、業績が落ちた年に起きます。 前期実績で決まるからです。

きついタイミングと、額が大きいタイミングが重なる設計になっている、というのが調べて分かったことでした。

払えないと、どうなるか

払えなかった場合は、延滞税がかかります。割合は年によって変わりますが、令和8年(2026年)はこうなっています国税庁)。

期間 割合
納期限の翌日から2か月以内 年2.8%
2か月を経過した日以後 年9.1%

2か月を過ぎると、跳ね上がります。

ここで前に書いたことと繋がります。事業資金は借りられるうちに借りる、そして調達には順番があるという話です。

銀行から借りられる状態なら、そちらのほうが安く済む場面があります。 年9.1%は、銀行のプロパー融資よりはるかに高いからです。

⚠️ ただし、これは「借りて払え」という話ではありません。 順番として、まず税務署に相談するのが先です。納税の猶予という制度もあります。黙って滞納するのが一番まずい、というだけの話です。

私がこれからやること

書いていて、やることが2つはっきりしました。

① 業績が落ちた年は、仮決算を検討する

知らなかったので、これまで一度も検討していません。次に売上が落ちた年は、税理士に「仮決算でどうなるか」を聞いてみます。 手間とコストに見合うかは、そのとき判断します。

② 納税資金を分けるかどうかを決める

分けていない、という状態を選んだ覚えがありません。 昔からそうしているだけです。

このブログで何度も同じことを書いています。会計ソフト社会保険協会記帳も、判断していたつもりで、判断していませんでした。

分けないなら分けないでいいと思います。ただ、それを選んだと言えるようにしておきたい、というだけです。

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この記事について

本記事は執筆時点(2026年8月)の制度内容と、筆者自身が調べた記録にもとづいて書いています。筆者は税理士ではありません。

中間申告の要否・回数・期限は、課税期間や事業者の区分によって異なります。 延滞税の割合は年ごとに変わります。仮決算による中間申告を行うかどうかは、手間とコストを含めた判断になります。 具体的な取り扱いについては、国税庁の最新情報を確認のうえ、顧問税理士または所轄の税務署にご相談ください。