交際費の記事で、うちは「これは交際費か」の判断を社内でしていると書きました。そして交際費は金額の線だけでなく、実質で見られるとも。

では、その判断は、いつ誰に問われるのか。 税務調査です。

調べてみたら、想像していたものと違いました。 そして税務調査の対策サービスに入ろうとしたら、条件で弾かれました。

調べた記録です。

「税務調査」の多くは、調査官が来ません

まず、ここで認識が変わりました。

国税庁の令和6事務年度の統計では、所得税の「調査等」が2種類に分かれています。

中身 件数
実地調査 調査官が来て、深度ある調査を行う 4万7千件
簡易な接触 納税者宅等に臨場することなく、文書、電話による連絡又は来署依頼による面接 68万9千件

15倍近い差があります。

多くの人が「税務調査」と聞いて想像するのは実地調査のほうですが、実際に遭遇する可能性が高いのは、文書や電話が来るほうです。

そして簡易な接触は増えています。 前事務年度の55万8千件から68万9千件へ、1.24倍です。

消費税(個人事業者)はもっと極端でした。調査等の合計が12万件から18万5千件(1.5倍)、うち簡易な接触は9万4千件から**15万7千件(1.67倍)**です。

⚠️ 「調査官が来ないから調査ではない」わけではありません。 簡易な接触も、申告内容を是正するものです。追徴税額は所得税全体で1,431億円と過去最高になっています。

法人の数字は、金額が大きい

法人側は件数が少なく、1件あたりが重いです(令和6事務年度・法人税等の調査事績)。

実地調査の件数 5万4千件
追徴税額の総額 3,407億円(直近10年で最高)
調査1件当たりの追徴税額 634万円

1件あたり634万円です。個人の実地調査(241万円)の2.6倍あります。

⚠️ そして源泉所得税は別枠で調査されています。 実地調査6万4千件のうち、非違があったのは2万1千件約3件に1件で何か見つかっていることになります。

源泉所得税の納付について書いたときは納付の話でしたが、中身も見られているわけです。

⚠️ 調査先はAIで選ばれています

これは知りませんでした。

国税庁は、こう書いています。

AIを活用した予測モデルにより調査必要度の高い法人を抽出し、予測モデルが判定した不正パターンに加え、申告書や国税組織が保有する様々な資料情報等を併せて分析・検討した後、調査官が調査実施の要否を最終的に判断しています。

そして公表されている事例が、これでした。

外注費を重点的に検討した結果、取引実態のない外注費を把握

⚠️ 外注費です。 このブログでも書きましたが、外注費は給与と判断されるリスクがある項目です。そこがAIで抽出され、実地調査になり、追徴税額約3億6千万円という事例でした。

「うちは小さいから来ない」は、根拠になりません。 規模ではなく、申告書と資料情報の中身で選ばれています。

個人は、業種で差が出ています

もうひとつ、国税庁が毎年公表しているものがあります。事業所得を有する個人の、1件当たり申告漏れ所得金額が高額な上位10業種です。

順位 業種 1件当たり申告漏れ所得
1 キャバクラ 4,164万円
2 眼科医 3,894万円
3 ホステス、ホスト 2,968万円
4 経営コンサルタント 2,734万円
5 太陽光発電 2,142万円
6 バー 1,968万円
7 コンテンツ配信 1,936万円
8 ブリーダー 1,876万円
9 スナック 1,873万円
10 システムエンジニア 1,631万円

⚠️ これは「その業種が悪い」という表ではありません。 現金商売や、実態の確認が難しい業種で、申告漏れが見つかりやすいという話です。

注目したいのは10位のシステムエンジニアです。前年は17位でした。そして7位のコンテンツ配信フリーランスや個人でネットの仕事をしている人が、上がってきています。

⚠️ 顧問税理士がいても、立会いは別のことがあります

ここは実務の話です。

顧問契約の範囲は、契約によって違います。 記帳や申告は入っていても、税務調査の立会いは別料金という契約は珍しくありません。

記帳の記事で「請求書の名目を見たら記帳代行と書いてあった」と書きましたが、同じことがここでも起きます。 「顧問税理士がいるから大丈夫」と思っていて、いざ調査の連絡が来たときに追加費用の話になる。

⚠️ 私も確認していません。 これは自分への宿題です。契約書か請求書を見れば分かる話なので、次に見ます。

うちは、対策サービスに入れませんでした

調べていて、税務調査に特化したサブスク型のサービスがあることを知りました。年会費を払っておくと、調査の連絡が来たときに日程調整から当日の立会い、調査後の交渉、資料対応までを提携税理士がやってくれる、というものです。

面白いと思ったので、条件を見ました。

個人 直近3年間の収入が各年5,000万円以下
法人 直近3期の売上が各期5,000万円以下

うちは、直近3年のうちに5,000万円を超えている年があります。

入りたいかどうか以前に、対象外でした。

これは笑い話ではなく、教訓だと思いました。 サービスを調べるとき、中身より先に条件を見る。私は中身から見て、あとから弾かれました。順番が逆でした。

それでも、合う人はいると思います

私は対象外でしたが、条件に当てはまる方には、考える価値があると思います。

合いそうな人

  • 個人事業主・フリーランス・小規模法人で、売上5,000万円以下
  • 顧問税理士がいない、または顧問契約に調査対応が入っていない
  • 自分で判断している項目がある(交際費、外注費、家事按分など)

⚠️ 確認したほうがいいこと

立会いが中心のサービスなので、上に書いた「簡易な接触」(文書・電話)への対応が含まれるかは、申し込む前に聞いたほうがいいと思います。件数としては、そちらのほうが圧倒的に多いからです。

料金は個人で年11,760円、法人で年23,760円(いずれも税抜)でした。⚠️ 私は対象外なので使っていません。 使い勝手は分かりません。

そのうえで、顧問税理士がいない状態で自分で判断しているなら、調査の連絡が来てから探すより、先に決めておくほうが落ち着いて対応できるとは思います。

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私がやること

調べて、宿題が2つできました。

  1. 顧問契約に、税務調査の立会いが含まれているか確認する
  2. 交際費の書類を、要件どおりに整える

2つ目は、前の記事で分かっていたことです。 「1人1万円以下」で除外するには、年月日・参加者の氏名と関係・人数・金額と店名を記録した書類が要ります。領収書だけでは足りません。

AIが外注費を見ているという事例を読んで、他人事ではないと思いました。

まとめ

  • 個人の「調査等」73万6千件のうち、実地調査は4万7千件。残りは文書・電話などの「簡易な接触」
  • 簡易な接触は1年で1.24倍に増えている(消費税は1.5倍)
  • 法人の実地調査は1件当たり634万円。追徴総額は直近10年で最高
  • 調査先はAIで抽出されている。 公表事例は外注費
  • 顧問税理士がいても、立会いが契約に入っているとは限らない
  • 対策サービスには売上の上限がある。 中身より先に条件を見ること

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この記事について

本記事は執筆時点(2026年8月)に国税庁が公表している統計・各社が公表している情報と、筆者自身が調べた記録にもとづいて書いています。筆者は税理士ではありません。

引用した統計は令和6事務年度(令和6年7月〜令和7年6月に処理を終了したもの)の実績で、年度によって変動します。業種別の表は「1件当たりの申告漏れ所得金額」の順位であり、その業種の申告が不適切であることを示すものではありません。 顧問契約の範囲やサービスの加入条件は事業者ごとに異なります。税務調査への対応や契約内容については、顧問税理士または各サービスに直接ご確認ください。