12月になると、忘年会の店を決めて、社員旅行の話が出て、年明けには新年会。 全部、会社のお金です。

この費用が「福利厚生費」なのか「交際費」なのか、それとも社員の「給与」になるのか。 毎年払っているのに、線引きをちゃんと調べたことがありませんでした。調べたら、国税庁の基準は「全員が対象か」と「常識の範囲か」の2つでした。

⚠️ そしてもう1つ。役員だけの忘年会や役員だけの旅行は、福利厚生費になりません。 ここは経営者が一番引っかかるところでした。

先に答えを書きます

何の費用か 扱い 条件
社員全員を対象にした忘年会・新年会 福利厚生費 全員におおむね一律、通常の飲食の範囲
社員旅行 福利厚生費(社員の給与にならない) ⚠️ 4泊5日以内、参加率50%以上、常識的な費用
取引先を呼んだ忘年会 交際費 社外の人への接待
⚠️ 役員だけの忘年会・旅行 交際費または役員の給与 福利厚生費にはならない
旅行に不参加の人に現金を渡した ⚠️ 全員分が給与に 参加者も含めて課税

「全員」と「常識の範囲」を外れると、交際費か給与になる、という整理です。順に書きます。

交際費と福利厚生費の線は、「社内か社外か」です

国税庁のタックスアンサー No.5261は、交際費と福利厚生費の区分をこう書いています。

交際費等とは、得意先や仕入先その他事業に関係のある者などに対する接待、供応、慰安、贈答などの行為のために支出する費用をいいます。
ただし、専ら従業員の慰安のために行われる運動会、演芸会、旅行などのために通常要する費用については交際費等から除かれ、福利厚生費などとされます。

社内の行事についても、こう続きます。

創立記念日、国民の祝日、新社屋の落成式などに際し、従業員等におおむね一律に、社内において供与される通常の飲食に要する費用

忘年会はここに当たります。 社員全員を対象に、おおむね一律で、通常の飲食。この3つを満たせば福利厚生費です。

⚠️ 逆に、取引先を呼んだ瞬間に「社外の人への接待」になり、交際費です。1人1万円以下の飲食費は交際費から外せると書きましたが、あれは社外の人との飲食の話で、社内だけの忘年会には最初から関係ありません。社内だけなら福利厚生費、社外が混ざれば交際費(1万円基準の対象)、と分かれます。

社員旅行は「4泊5日」「50%」が線です

社員旅行は、社員が受けた利益を給与として課税するかどうかが問題になります。 国税庁のタックスアンサー No.2603の基準はこうです。

(1)旅行の期間が4泊5日以内であること。海外旅行の場合には、外国での滞在日数が4泊5日以内であること。
(2)旅行に参加した人数が全体の人数の50パーセント以上であること。工場や支店ごとに行う旅行は、それぞれの職場ごとの人数の50パーセント以上が参加することが必要です。

これに「社会通念上一般に行われているレクリエーション旅行」で「少額」という条件が重なります。 国税庁の事例では、

<事例1> 旅行期間3泊4日、旅行費用15万円(内使用者負担7万円)、参加割合100パーセント → 旅行期間・参加割合の要件および少額不追求の趣旨のいずれも満たすと認められることから原則として課税しなくてもよい

⚠️ **会社負担が1人7万円の3泊4日で「課税しなくてもよい」**が公式の例です。期間と参加率を満たしても、会社負担が常識を超えて大きければ給与になりうる、という含みがあります。

該当しない旅行も明記されています。

1 役員だけで行う旅行
2 取引先に対する接待、供応、慰安等のための旅行
3 実質的に私的旅行と認められる旅行
4 金銭との選択が可能な旅行

🚩 注意点がもう1つ。

自己の都合で旅行に参加しなかった人に金銭を支給する場合には、参加者と不参加者の全員にその不参加者に対して支給する金銭の額に相当する額の給与の支給があったものとされます。

「行けない人には旅行代の分を現金で」は、善意でやると全員分が給与になります。 ここは知らないと踏みます。

🚩 役員だけの忘年会・旅行は、福利厚生費になりません

経営者として一番気をつけるのはここです。

社員旅行の「役員だけで行う旅行」は該当しない、と国税庁が明記しています。忘年会も同じ理屈で、役員だけで集まって会社のお金で飲むのは、「従業員等におおむね一律」ではありません。交際費として処理するか、役員の給与として扱うかのどちらかになり、役員の給与は年の途中で増やすと損金にならないので、役員給与扱いは一番不利です。

社員と一緒に、社員と同じ内容で参加するなら、役員の分も福利厚生費に含まれます。健康診断や予防接種と同じで、「全員対象」の中に役員が入っているぶんには問題ない。役員だけを切り出した瞬間に扱いが変わる、という構造でした。

経理で気をつけること

  • 消費税——忘年会の飲食も社員旅行の国内旅費も、国内の事業者に払う分は課税仕入れ。海外旅行の現地費用は対象外
  • 領収書——店の領収書は会社宛で。参加者の人数(全員のうち何人)が分かるメモを残すと、「全員対象」「50%以上」の説明が後からできる
  • ⚠️ 幹事の立替——社員が個人のカードで払って精算する形は、個人のカードに会社の支払いを混ぜないの逆パターンで、精算の手間と説明が増える。会社のカードか、店に請求書を出してもらうほうが単純
  • 二次会——全員対象の一次会は福利厚生費でも、一部の人だけの二次会は「一律」ではない。交際費か給与かの判断になるので、会社で持つなら線を引いておく

うちで確認すること

⚠️ うちの忘年会や旅行の中身は書きません。 確認する順番だけ書きます。

  1. 対象が「社員全員」になっているか——案内が全員に出ているか。役員だけの会は別枠
  2. 社員旅行なら、4泊5日以内・参加率50%以上か——工場や支店ごとに数える
  3. 不参加者に現金を渡していないか——渡すと全員分が給与
  4. 取引先が混ざっていないか——混ざれば交際費。1人1万円基準はそこで使う
  5. 会社負担が「常識の範囲」か——国税庁の例は1人7万円の3泊4日

⚠️ 1番が全部の土台です。 費用の額より先に、「誰が対象か」で科目が決まります。

まとめ

  • 社員全員を対象に、おおむね一律で、通常の飲食なら忘年会は福利厚生費(国税庁 No.5261)
  • 社員旅行は4泊5日以内・参加率50%以上・常識的な費用で、社員の給与にならない(No.2603)。公式の例は3泊4日・会社負担7万円
  • 🚩 役員だけの忘年会・旅行は福利厚生費にならない。交際費か役員給与。社員と一緒なら役員の分も福利厚生費
  • ⚠️ 旅行の不参加者に現金を渡すと、全員分が給与になる
  • 取引先が混ざれば交際費。1人1万円基準は社外の飲食の話
  • 幹事の個人カード立替より、会社のカードか請求書払いのほうが単純

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この記事について

本記事は執筆時点(2026年9月)に国税庁が公表しているNo.5261 交際費等と福利厚生費との区分、No.2603 従業員レクリエーション旅行や研修旅行にもとづいて書いています。筆者は税理士ではありません。

⚠️ 忘年会・社員旅行の費用が福利厚生費・交際費・給与のどれに当たるかは、対象者の範囲、参加率、期間、会社負担額、行事の内容などを総合的に見て判断されます。 本記事の基準は国税庁の公開情報にもとづく一般的な整理で、個別のケースで結論が変わることがあります。

自社の行事の費用の処理については、必ず顧問税理士にご確認ください。 本記事は一般的な情報提供であり、個別の判断を示すものではありません。