10月から11月にかけて、保険会社から「生命保険料控除証明書」が届きます。 年末調整の書類に貼るか、確定申告に添付するかで、税金が少し減ります。

調べて分かったのは、この控除には「枠」があって、枠を超えた保険料は1円も税金に効かないということでした。そして2026年分から、子どもがいる家庭の枠が1つ広がっています。

⚠️ もう1つ、経営者の場合。会社が契約者の保険は、社長個人の控除には使えません。 会社の保険と個人の保険は別だと書いたのは、ここにも効いてきます。

先に答えを書きます

知りたいこと 答え
控除の上限(所得税) 3つの枠それぞれ4万円、合計12万円(2012年以降の契約)
🚩 2026年分からの変更 23歳未満の扶養親族がいる人は、一般の生命保険料の枠が6万円に。ただし合計12万円は変わらない
住民税の上限 各枠2.8万円、合計7万円
いくら税金が減るか 目安で年1.9万〜3.1万円(所得税率10〜20%の場合、12万円を使い切ったとき)
会社契約の保険 ⚠️ 社長個人の控除にはならない。ただし会社負担分が給与として課税されていれば対象

「控除があるから保険に入る」は順番が逆です。理由を順に書きます。

控除は3つの枠に分かれています

国税庁のタックスアンサー No.1140によると、**2012年(平成24年)1月1日以後に結んだ契約(新契約)**の控除額はこうです。

年間の支払保険料 控除額
20,000円以下 全額
20,000円超 40,000円以下 保険料×1/2+10,000円
40,000円超 80,000円以下 保険料×1/4+20,000円
80,000円超 一律40,000円

この計算を、①一般の生命保険料 ②介護医療保険料 ③個人年金保険料の3つの枠で別々に行い、合計します。 そして、

この合計額が120,000円を超える場合には、生命保険料控除額は120,000円となります。

⚠️ つまり、1つの枠で年8万円を超える保険料を払っても、控除は4万円で止まります。 死亡保険に年20万円払っていても、一般枠の控除は4万円です。保険料の額と控除の額は比例しません。

**2011年以前の契約(旧契約)**は別の表で、一般と個人年金の2枠、それぞれ最高5万円です。⚠️ 新旧の両方がある場合の計算はやや複雑で、一般枠は「旧だけで計算した5万円」か「新旧合算の4万円」のどちらか有利なほうになります。控除証明書に「新」「旧」の区分が書いてあるので、そこを見ます。

🚩 2026年分から、子どもがいる家庭は一般枠が6万円になります

これが今年の変更点です。 同じ国税庁のページに、

令和8年分以降の申告の場合、新契約に基づく新生命保険料の控除額について、23歳未満の扶養親族を有する場合の控除額は次の表の計算式に当てはめて計算した金額です。

年間の新生命保険料 控除額(23歳未満の扶養親族がいる場合)
30,000円以下 全額
30,000円超 60,000円以下 保険料×1/2+15,000円
60,000円超 120,000円以下 保険料×1/4+30,000円
120,000円超 一律60,000円

一般の生命保険料(死亡保険など)の枠が、4万円から6万円に広がりました。 子育て世帯の保障を厚くする狙いです。

⚠️ ただし、3枠の合計上限は12万円のままです。 一般6万+介護医療4万+個人年金4万=14万円にはならず、12万円で止まります。 3つの枠を全部使い切っている人は、この改正で控除は増えません。**増えるのは「一般枠だけ使っていて、介護医療や個人年金の枠が空いている人」**です。

2026年12月の年末調整で使う書類は、この改正を反映した様式になります。 年末調整で基礎控除も変わるのと同じ年なので、今年の年末調整は去年の書類の使い回しができません。

住民税の枠は別で、合計7万円です

所得税とは別に、住民税にも生命保険料控除があります。 東京都主税局の説明では、新契約は各枠最高28,000円、旧契約は各枠最高35,000円で、

一般生命保険料控除、個人年金保険料控除、介護医療保険料控除の合計限度額は70,000円です。

所得税12万円、住民税7万円。 税額に直すとどのくらいか、概算します。

控除額 税率 減る税金の目安
所得税(税率10%の人) 12万円 10% 約1.2万円
所得税(税率20%の人) 12万円 20% 約2.4万円
住民税 7万円 10% 約7,000円

⚠️ 3つの枠を使い切って、年に1.9万〜3.1万円です。そのために払う保険料は、3枠それぞれ8万円以上、合計24万円以上。 控除で戻るのは保険料の1割前後です。

🚩 だから「控除があるから保険に入る」は順番が逆です。必要な保障のために入った保険に、結果として控除がつく。 それだけの話でした。逆に、保障として要らない保険を「控除になるから」で続けていれば、9割は出ていくだけです。

会社契約の保険は、社長の控除になりません

ここが経営者の確認ポイントです。

控除の対象は、No.1141にあるとおり、**「保険金等の受取人のすべてをその保険料等の払込みをする方またはその配偶者その他の親族とするもの」**です。会社が契約者で、会社が保険料を払い、会社が受取人の経営者保険は、社長個人の生命保険料控除の対象になりません。 会社の経費です。

⚠️ 例外が1つあります。 国税庁の質疑応答事例に、

役員又は使用人の負担すべき生命保険料等を使用者が負担した場合において、その負担した金額でその役員又は使用人の給与等として課税されたものは、その役員又は使用人が支払った生命保険料等の金額に含まれるものとされています(所得税基本通達76-4)。

会社が払った保険料が、社長の給与として課税されている場合は、社長個人の控除に使えます。 経費として処理したなら控除なし、給与として課税したなら控除あり。会社側の処理と個人側の控除がセットになっています。

うちの経営者保険は借入があるから入っている会社契約なので、私個人の控除には関係ありません。 控除証明書で個人の控除に使えるのは、個人で契約している保険の分だけです。

年末調整か、確定申告か

控除を受ける手続きは2通りです。

  • 年末調整——会社に控除証明書を出す。社長も年末調整の対象なので、会社に出せば済む
  • 確定申告——医療費控除やふるさと納税で確定申告する人は、そちらに添付してもいい。⚠️ 年末調整で控除を受けたものは、確定申告で二重に申告しない

⚠️ うちは医療費控除で毎年確定申告をしています。 生命保険料控除は年末調整で済ませて、確定申告では医療費控除だけを足す、という形が一般的です。年末調整で受けた控除は、確定申告のときに「年末調整済み」として引き継がれます。

控除証明書は10〜11月に届きます。 ⚠️ なくすと再発行に時間がかかるので、届いたら年末調整の書類と一緒に置いておくのが一番確実です。

私が確認すること

⚠️ うちの保険の中身や保険料は書きません。 確認する順番だけ書きます。

  1. 届いた控除証明書の「新」「旧」と、どの枠(一般・介護医療・個人年金)かを見る——枠ごとに上限がある
  2. 各枠の年間保険料が8万円(旧は10万円)を超えているか——超えていれば、その先の保険料は控除に効いていない
  3. 23歳未満の扶養親族がいるなら、一般枠が6万円になる新しい計算式で出す——ただし合計12万円まで
  4. 会社契約の保険は個人の控除に入れない——入れられるのは、給与として課税された分だけ
  5. 「控除になるから」で続けている保険がないか——保障として要るかどうかで判断する

⚠️ 5番が本質です。 控除は保険料の1割前後しか戻しません。保険の要不要は、控除とは切り離して決める。 それを決める材料は、会社の保険と個人の保険を分けて考えるところから始まります。

まとめ

  • 生命保険料控除は3つの枠(一般・介護医療・個人年金)でそれぞれ最高4万円、合計12万円(所得税、2012年以降の契約)
  • 🚩 2026年分から、23歳未満の扶養親族がいる人は一般枠が6万円に。ただし合計12万円は据え置き
  • 住民税は各枠2.8万円、合計7万円
  • 税額で減るのは年1.9万〜3.1万円が目安。そのための保険料は合計24万円以上。控除で戻るのは保険料の1割前後
  • ⚠️ 会社契約の経営者保険は社長個人の控除にならない。会社負担分が給与として課税されていれば対象
  • 「控除になるから入る」は順番が逆。必要な保障に、結果として控除がつく

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この記事について

本記事は執筆時点(2026年9月)に国税庁が公表しているNo.1140 生命保険料控除No.1141 生命保険料控除の対象となる保険契約等質疑応答事例「事業主負担の保険料等の生命保険料控除の適用」東京都主税局の個人住民税の説明にもとづいて書いています。筆者は税理士でもファイナンシャルプランナーでもなく、保険の募集人でもありません。本記事は特定の保険商品を推奨するものではありません。

⚠️ 減る税金の目安は、控除額に税率を掛けた概算で、実際の額は所得・他の控除・復興特別所得税によって変わります。 新契約と旧契約の両方がある場合の計算、保険期間5年未満の契約など対象外のもの、会社負担の保険料の取扱いは、契約内容と会社側の処理によって異なります。

個別の控除額や処理については、必ず顧問税理士・契約先の保険会社にご確認ください。 本記事は一般的な情報提供であり、個別の判断を示すものではありません。