会社で、経営者(私)を被保険者にした生命保険に入っています。2023年に、自分で決めて入りました。

このブログでこれまで書いてきたもの——記帳のソフト社用車の保険商工会議所——は、どれも自分で選んだ記憶がないものばかりでした。

これは違います。 自分で必要だと思って、自分で入りました。

理由は1つです。借入があるからです。

経営者に万一のことがあると、借入は残ります

事業資金の記事に書いたとおり、うちは3種類の借入をしています。信用保証協会付き、プロパー、マル経融資です。

私がいなくなっても、この借入は消えません。

  • 会社には返済が残ります
  • 経営者保証が付いていれば、その責任も残ります
  • そして私がいなくなった直後の会社に、返す力があるかは分かりません

売上を作っていた人間がいなくなって、返済だけが残る。 これが一番怖い形だと思いました。

保険は、そこを埋めるためのものです。 会社にお金が入れば、返済に充てるなり、立て直す時間を買うなりできます。

「万一の備え」と言うと漠然としていますが、私の場合は「借入をどうするか」という具体的な話でした。

節税のためではありません

ここははっきり書いておきます。

経営者保険は、長いあいだ**「節税になります」**という売り方をされてきました。保険料を全額経費にして、利益を圧縮する。そういう商品が実際にありました。

でも今は、その前提が変わっています。

2019年7月8日で、線が引かれました

国税庁の通達改正で、法人契約の生命保険の経理処理が見直されました。

ポイントは契約した日です。

契約した時期 扱い
2019年7月7日まで 従来どおり(全額損金のものは、今も全額損金)
2019年7月8日以降 解約返戻率に応じて、損金にできる割合が決まる

新しいルールでは、**解約したときに戻ってくるお金の率(最高解約返戻率)**で扱いが変わります。

  • 50%以下 … 原則、支払った保険料は全額損金
  • 50%超〜70%以下 … 保険期間の当初40%の期間は、6割を損金・4割を資産に計上
  • 返戻率が高いほど、損金にできる割合は減る

つまり**「解約すると多く戻ってくる保険ほど、経費にしにくくなった」**ということです。貯蓄性の高いものほど、貯金と同じ扱いに近づけられました。

なお、年間の保険料が1人あたり30万円以下なら全額損金という例外もあります。

この改正で、何が終わって、何が残ったか

終わったのは「貯めながら節税する」という使い方です。

解約返戻金が貯まるタイプは、払った保険料の一部を資産に計上しなければならなくなりました。 経費として落とせる額が減るので、節税の効果は薄くなりました。

残ったのは、掛け捨ての保障です。

解約返戻金がない(またはごく少ない)保険は、最高解約返戻率が低いので、今も全額損金にできます。 保障そのものが目的の保険は、改正の影響をほとんど受けていません。

私が入ったのは、こちらです。

入ったのは、法人会の団体保険でした

具体的には、**法人会の「経営者大型総合保障制度」**です。

制度の作りとしては、大同生命の無配当定期保険(無解約返戻金型)と、損害保険を組み合わせたものとされています。

  • 無解約返戻金型=掛け捨て。だから返戻率が低く、全額損金の扱いになります
  • 法人会の会員向けの料率で、1人から加入できます
  • 死亡・重度障害のほか、病気やケガの入院・通院も対象になっています

2023年の加入なので、新しいルールが適用される時期です。それでも掛け捨てなので、扱いは変わりませんでした。

節税を狙っていたら、たぶん失敗していました。 保障が欲しくて掛け捨てを選んだ結果、改正後の環境にも合っていたというだけです。

会費を払っている団体が、また出てきました

気づいたのですが、うちが会費を払っている団体は、これで3つ目です。

団体 使っているもの
商工会議所 マル経融資社長本人の労災特別加入
社会保険協会 何も使っていない(会費を払うのをやめました)
法人会 この保険

同じ「毎年払う会費」なのに、結果はバラバラでした。

使えば会費以上のものが返ってくるし、使わなければただの出費です。団体に入っていること自体には、意味がありません。 何を使うかで決まります。

これから検討する人へ

私の経験から言えることを書きます。

① 「節税になります」で判断しない

2019年7月8日以降の契約なら、貯蓄性の高いものほど経費にしにくくなっています。 昔の話をそのまま持ち出されたら、契約日で扱いが変わることを確認してください。

② 何のために入るのかを、先に決める

私の場合は借入でした。 そこがはっきりしていれば、必要な保障額も、掛け捨てでいいかどうかも決まります。

③ 既に入っているものがあるなら、契約日を確認する

2019年7月7日までの契約なら、今も従来の扱いです。 慌てて見直す必要はありません。ただし「昔と同じつもりで追加したら扱いが違った」ということは起こります。

④ 経理処理は税理士に確認する

損金と資産計上の按分は、保険の種類と契約時期で変わります。 ここは自己判断せず、顧問税理士に確認してください。 私もそうしています。

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この記事について

本記事は執筆時点(2026年8月)の制度と、筆者自身の経験にもとづいて書いています。本記事は特定の保険商品を推奨するものではありません。 保障の内容・保険料・加入条件は商品や引受会社、加入時の状況によって異なります。税務上の取扱いは契約日・保険の種類・最高解約返戻率によって変わり、個別の判断が必要です。 実際の加入や経理処理にあたっては、必ず顧問税理士および保険の取扱窓口にご確認ください。