11月に入ると、お歳暮の手配、年賀状の準備、社名入りカレンダーの発注と、年末の「贈り物と挨拶」が重なります。どれも会社や事業のお金で払うものです。

ただ、同じ年末の支出でも、税金の扱いはそろっていません。お歳暮は交際費、カレンダーは交際費から外れることがある、年賀はがきはそもそも消費税がかからない。調べてみると、科目も消費税も別々でした。

取引先との飲食の線引きは1人1万円基準の記事に、忘年会と社員旅行は福利厚生費の記事に書いたので、ここでは贈り物と挨拶状だけを扱います。調べた記録です。

先に答えを書きます

贈るもの/相手 科目の考え方 注意点
取引先へのお歳暮・お中元(品物) 交際費 食品の詰め合わせでも、1人1万円の飲食費の除外は使えない
取引先へのお歳暮(商品券・ギフトカード) 交際費 購入は消費税が非課税。贈った側は仕入税額控除が取れない
社名入りカレンダー・手帳・うちわなど 交際費から除かれる(広告宣伝費などで処理) 多数に配る、広告の意味がある、少額、の3つがそろうこと
年賀はがき 一般には通信費 郵便局で買うはがきは消費税が非課税
社員に配る品物や現金(餅代など) 給与 交際費にはならない。原則として給与として課税
個人事業主の贈答 接待交際費(上限なし) 事業に通常必要か、を一件ずつ説明できること

分かれ目は「相手が誰か」と「何を渡すか」の2つでした。順に書きます。

お歳暮・お中元は、原則として交際費です

国税庁のタックスアンサー No.5265は、交際費等をこう定義しています。

交際費等とは、交際費、接待費、機密費その他の費用で、法人が、その得意先、仕入先その他事業に関係のある者などに対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為(以下「接待等」といいます。)のために支出するものをいいます。

定義の中に「贈答」が入っています。取引先へのお歳暮・お中元は、ここにそのまま当たります。

引っかかりやすいのは、食品の詰め合わせを贈る場合です。お歳暮はハムやお菓子など食べ物が多いので、「1人1万円以下の飲食費は交際費から外せる」という規定が使えそうに見えます。

使えません。租税特別措置法関係通達 61の4(1)-15の2の注書きに、こうあります。

例えば中元・歳暮の贈答のように、単なる飲食物の詰め合わせ等を贈答する行為は、飲食等には含まれない。

国税庁の通達の解説でも、詰め合わせの贈答は中元・歳暮と変わらないので飲食等に含まれず、その費用は原則として交際費等に当たる、と説明されています。

1万円基準は「一緒に食べる」「差し入れてすぐ食べてもらう」ための規定で、お歳暮には使えない、ということです。

法人は「800万円の枠」を使うことになります

交際費等は、原則として法人税の損金になりません。そのうえで、No.5265では資本金1億円以下などの中小法人に次の2つの計算が用意されています。

選べる方法 損金にならない部分
定額控除 交際費等のうち、年800万円(事業年度の月数で按分)を超える部分
飲食費の50% 交際費等のうち、接待飲食費の50%を超える部分

お歳暮は飲食費ではないので、2つ目の方法ではまるごと損金になりません。年間の交際費が800万円に届かない会社なら、定額控除を選べばお歳暮も含めて全額損金です。 800万円は飲食・ゴルフ・贈答をすべて合わせた枠なので、年末にお歳暮が加わったときの合計で見ることになります。

もう1つ、時期の話があります。措置法通達61の4(1)-24では、交際費等を支出したときとは「接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為のあったとき」とされています。決算月の直前に注文して、相手に届くのが翌期になるなら、その交際費は翌期のものになります。

社名入りカレンダーや手帳は、交際費から外れることがあります

No.5265には、交際費等から除かれる費用として次のものが挙がっています。

カレンダー、手帳、扇子、うちわ、手ぬぐいその他これらに類する物品を贈与するために通常要する費用

「これらに類する物品」の範囲は、措置法通達61の4(1)-20で決められています。

多数の者に配付することを目的とし主として広告宣伝的効果を意図する物品でその価額が少額であるもの

条件は3つです。多数に配ること、広告の意味が主であること、少額であること。社名を入れたカレンダーを取引先や来客にまとめて配るのは、この形に近いと思います。交際費から外れたものは、広告宣伝費などで処理されるのが一般的です。

ただし金額の線は書かれていません。 名前が「カレンダー」でも、特定の取引先数社にだけ高価なものを贈るなら、文言の「多数」「少額」から外れます。その場合は贈答として交際費に戻る、と読むのが自然です。

商品券を贈ると、消費税は引けません

お歳暮を品物ではなく商品券やギフトカードで贈る場合、法人税の扱いは品物と同じく交際費です。違いが出るのは消費税です。

No.6229によると、商品券・ギフト券・プリペイドカードの譲渡は非課税で、仕入れの消費税を引けるのは「後日その商品券などを使って実際に商品の購入またはサービスの提供を受けた者」です。

贈った商品券を使うのは相手です。国税庁の質疑応答事例でも、物品切手等は購入の段階では課税仕入れにならず、引換えを受けた事業者の課税仕入れになる、とされています。贈った側は、仕入税額控除をどこでも取れません。

品物で贈る場合は、店で買った時点で課税仕入れになります。食品なら軽減税率8%、それ以外は10%です(No.6102)。控除を受けるには、店から受け取った適格請求書(インボイス)か、小売店のレシート形式の簡易インボイスを保存します(No.6625)。百貨店でまとめて送った場合は、送り先リストと一緒に控えを残しておくと、誰に何を贈ったかも説明できます。

なお国税庁は、2027年4月から2年間、飲食料品の税率を1%に下げる改正案を特設サイトで説明しています。法案の成立が前提の内容で、今年のお歳暮は8%のままです。

年賀はがきは、買ったときに消費税がかかりません

No.6201では、日本郵便などが行う郵便切手類の譲渡が非課税とされています。消費税法基本通達6-4-2で、郵便切手類には郵便葉書が含まれています。

基本通達11-3-7では、郵便切手類は購入時には課税仕入れにならず、郵便のサービスを受けたときに課税仕入れになるとされています。ただし自分で使う分を、継続して買った日の課税仕入れにしているなら、それも認められます。

勘定科目は、年賀状を名指しした国税庁の説明は見つけられませんでした。交際費の定義に並ぶ「接待、供応、慰安、贈答」のどれにも当たりにくいため、実務では通信費で処理されていることが多いようです。印刷を業者に頼んだ費用は、はがき代とは別の課税仕入れです。

社員へのお歳暮や餅代は、給与です

同じ年末の贈り物でも、相手が自社の社員なら話が変わります。

措置法通達61の4(1)-1では、交際費等に含まれないものとして「給与等」が挙がっています。そしてNo.2508では、品物の無償の支給などの「現物給与」も、原則として給与所得の収入金額になるとされています。

現金の餅代はもちろん、社員に配る品物も原則は給与として源泉徴収の対象、ということです。現物給与には特別な取扱いがいくつか定められていますが、記念品などの特定のものに限られていて、年末の品物を名指しした非課税の扱いは、国税庁の資料では見つけられませんでした。全員を対象にした忘年会のような福利厚生費とは、扱いが違います。

個人事業主に、800万円の枠はありません

ここまでの800万円の話は、法人税の制度です。個人事業主には、交際費の上限そのものがありません。

国税庁の確定申告書等作成コーナーのよくある質問では、接待交際費についてこう書かれています。

相手方や支出の理由などからみて、事業を営む上で通常必要と認められる金額が必要経費になります。

例として「取引先などに対する中元、歳暮の費用」が挙がっています。一人親方が元請に、フリーランスが取引先にお歳暮を贈るのは、ここに当たります。

上限がない代わりに、一件ずつ「事業に必要だったか」で見られます。 親戚や友人への贈り物が混ざっていないか、誰に贈ったかが後から説明できるか。送り先リストと領収書を一緒に残しておくのが、いちばん確実な説明になります。

消費税の扱い(商品券は控除できない、食品は8%)は、課税事業者であれば法人と同じです。

まとめ

  • 取引先へのお歳暮・お中元は、原則として交際費。食品の詰め合わせでも1人1万円の飲食費の除外は使えない
  • 中小法人は年800万円の定額控除を選べば、お歳暮を含めて800万円までは損金になる。飲食費50%の方法ではお歳暮は損金にならない
  • 交際費の時期は贈答をしたとき。決算をまたぐと翌期になる
  • 社名入りカレンダー・手帳・うちわなどは、多数に配る・広告の意味が主・少額の3つがそろえば交際費から除かれる
  • 商品券やギフトカードは購入が非課税で、贈った側は仕入税額控除が取れない
  • 品物は課税仕入れ。食品は8%、それ以外は10%。インボイスを保存する
  • 年賀はがきは購入時に消費税がかからず、勘定科目は通信費が一般的
  • 社員への品物や餅代は交際費ではなく給与
  • 個人事業主は交際費の上限がない代わりに、事業に通常必要かを一件ずつ見られる

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この記事について

本記事は執筆時点(2026年10月)に国税庁が公表しているタックスアンサー(No.5265:交際費等の範囲と損金不算入額の計算、No.6229:商品券やプリペイドカードなど、No.6201:非課税となる取引、No.6102:消費税の税率、No.6625:適格請求書等の記載事項、No.2508:給与所得となるもの)、租税特別措置法関係通達(交際費等の範囲)、消費税法基本通達、質疑応答事例「物品切手等の購入費用」、確定申告書等作成コーナーのよくある質問(接待交際費)にもとづいて書いています。飲食料品の税率引下げは、国税庁の特設サイトに掲載された改正案の内容です。筆者は税理士ではありません。

贈り物が交際費・広告宣伝費・給与のどれに当たるかは、相手、品物の内容、金額、配り方などから個別に判断されます。カレンダー等の「少額」に金額の基準はなく、年賀状の勘定科目も税法で決められたものではありません。

自社の贈答品や挨拶状の処理については、必ず顧問税理士または所轄の税務署にご確認ください。 本記事は一般的な情報提供であり、個別の判断を示すものではありません。