給与計算は、私がExcelでやっています。

亡くなった父から引き継いで、約5年になります。毎月の表は、前年の表をコピーして作っています。

2026年10月、その表を見直しました。誤りがいくつか見つかりました。

格好のいい話ではありませんが、そのまま書きます。同じようにExcelで給与計算をしている方の、点検の材料になればと思っています。

先に答えを書きます

見つかった誤りと、正しい扱い、どう直したかを並べます。

見つかった誤り 正しくは どう直したか
料率改定や定時決定を、1か月早い給料から反映していた年があった ○月分の保険料は、翌月の給料から控除する 過去の年は遡らず、今後は「○月分は翌月の給料から」に統一
子ども・子育て支援金を、6〜9月支給分で控除していなかった 2026年4月分の保険料から、医療保険料と合わせて徴収される 差額は年末調整で税理士に依頼。経緯をまとめた書面を渡した
健康保険料が、途中の月で旧料率の手入力値に戻っていた その月に適用される料率で計算する 10〜12月分は表を直し、ずれた金額は精算
雇用保険の本人負担を、2026年1〜10月支給分で0.6〜0.7%で控除していた 2026年度(一般の事業)は0.5% 10〜12月分は表を直し、ずれた金額は精算

ひとつずつ書きます。

社会保険料は「翌月の給料から」でした

私は、これを意識していませんでした。

日本年金機構の説明には、こう書かれています。

当月支払う給料から前月の標準報酬月額にかかる保険料を差し引くことができ

例として「5月の給料支払日には4月分の保険料を差し引くことになります」とも書かれています。

根拠は法律にあります。健康保険法第167条と厚生年金保険法第84条は、どちらも事業主が報酬から控除できるのは「前月の標準報酬月額に係る保険料」だとしています(退職したときは前月とその月の分)。

「○月分の保険料」と「○月に払う給料」は、1か月ずれています。 これを分けて考えていなかったので、切り替わりの月を間違えていました。

変わるもの 何月分から 給料に反映するのは
健康保険料率の改定 3月分から 4月支給の給料から
子ども・子育て支援金 4月分から 5月支給の給料から
定時決定の標準報酬月額 9月分から 10月支給の給料から

健康保険料率と支援金の時期は、協会けんぽ広島支部の発表資料で確認しました(健康保険料率は令和8年3月分・4月納付分から、支援金は令和8年4月分・5月納付分から)。加入している健康保険によって違うことがあるので、自分の加入先で確認してください。

定時決定については、日本年金機構が「9月から翌年8月までの各月に適用されます」としています。ここでいう9月は「9月分の保険料」です。9月分は10月の給料から控除するので、反映は10月支給になります。

うちでは、料率改定や定時決定を1か月早い給料から反映していた年がありました。定時決定を9月支給で反映するのは、父の代からの慣習でした。私はそれを、疑わずに引き継いでいました。

給料を上げたときの随時改定も、考え方は同じです。日本年金機構は、変更後の報酬を初めて受けた月から数えて4か月目の標準報酬月額から改定するとしています。これも「○月分」の話なので、給料に反映するのはその翌月です。

子ども・子育て支援金の行が、計算式から抜けていました

2026年4月分の保険料から、子ども・子育て支援金が始まりました。健康保険料などと合わせて徴収され、協会けんぽ広島支部の資料には「健康保険料、介護保険料、子ども・子育て支援金は労使折半となります」と書かれています。

うちの表では、6〜9月支給分で、控除合計の計算式から支援金の行が抜けていました。その4か月は、従業員の給料から支援金を控除していなかったことになります。

行を作っても、合計の式に入っていなければ控除されません。 料率の欄だけ見ていても、この誤りは見つかりません。

健康保険料が、途中で古い料率に戻っていました

健康保険料の欄が、途中の月で旧料率の手入力値に戻っていました。

式で計算している欄と、手入力の数字が入った欄は、見た目では区別がつきません。料率が変わった月だけでなく、その後の月も一つずつ確認する必要がありました。

雇用保険の本人負担が、高い率のままでした

雇用保険の本人負担は、2026年は1〜10月支給分で、0.6〜0.7%で控除していました。

厚生労働省の「令和8年度 雇用保険料率のご案内」では、一般の事業の労働者負担はこうなっています。

期間 一般の事業の労働者負担
令和7年度(2025年4月〜2026年3月) 5.5/1,000(0.55%)
令和8年度(2026年4月〜2027年3月) 5/1,000(0.5%)

令和7年度の率は、令和7年度のご案内でも同じ数字を確認しました。どちらの年度と比べても、うちの控除は高すぎました。

雇用保険料率は、年度ごとに決まります。農林水産・清酒製造の事業と建設の事業は率が違うので、自社の事業の種類で確認してください。

どう直したか

やったことは、次のとおりです。

  • 10〜12月分は、表を直しました
  • ずれた金額は、11月支給分の保険料欄で精算しました
  • 6〜9月の支援金の差額などは、年末調整で税理士に頼むことにしました。経緯をまとめた書面を渡しています

過去の年は、遡って直していません。今後は「○月分は翌月の給料から」に統一することにしました。

直すのと同時に、翌年の準備もしました。 2027年用の表を先に作り、年の途中で直す月を書き出しました。

支給月 直すもの
4月支給 健康保険などの料率改定、雇用保険料率の改定
6月支給 住民税
10月支給 定時決定

住民税が6月支給で変わる理由は、住民税の記事に書きました。定時決定の仕組みは、算定基礎届の記事にあります。

Excelで給与計算をしている方へ、点検する4つのこと

自分の誤りをもとに、点検するところを並べます。

点検すること 見るところ
保険料の計算式に支援金が入っているか 控除合計のセルの式を開いて、支援金の行が含まれているか。金額が表示されているだけでは分かりません
料率と反映月 「○月分」の保険料を、翌月支給の給料で控除しているか。3月分の料率改定は4月支給、9月分の定時決定は10月支給
雇用保険率は毎年4月に変わる 年度が変わったら、厚生労働省の案内で新しい率を確認する。前年の率が残っていないか
前年コピーの落とし穴 式の欄に手入力の数字が混ざっていないか。前年の料率がそのまま残っていないか

前年の表をコピーすると、前年の誤りもそのままコピーされます。 うちの「定時決定は9月支給」は、まさにそれでした。

自社の締め日・支給日で、どの月の給料から切り替えるかは、一度紙に書き出しておくと迷いません。

まとめ

  • 社会保険料は「○月分を翌月の給料から」控除する。健康保険法第167条・厚生年金保険法第84条に書かれている
  • 料率改定(3月分から)は4月支給、定時決定(9月分から)は10月支給で反映する
  • 子ども・子育て支援金は2026年4月分の保険料から始まり、労使折半
  • 雇用保険の労働者負担は、令和8年度の一般の事業で0.5%(令和7年度は0.55%)
  • 控除合計の式に支援金が入っているか、式の欄に手入力の数字がないかを確認する
  • 前年の表のコピーは、前年の誤りも引き継ぐ
  • 誤りに気づいたら、精算や年末調整の扱いは税理士・社会保険労務士に相談する

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この記事について

本記事は執筆時点(2026年10月)の一般的な内容と、筆者自身の経験にもとづいて書いています。筆者は社会保険労務士・税理士ではありません。

参照した資料は、日本年金機構、e-Gov法令検索(健康保険法・厚生年金保険法)、協会けんぽ広島支部、厚生労働省の公表資料です。

健康保険料率・子ども・子育て支援金率・雇用保険料率と、その反映時期は、年度や加入している健康保険、事業の種類によって異なります。控除の誤りを精算する方法や、年末調整での扱いも、会社ごとの事情で変わります。必ず加入先、社会保険労務士、税理士にご確認ください。 本記事は一般的な情報提供であり、個別の判断を示すものではありません。