会社の保険と個人の保険は別だと書きました。生命保険の話でした。

火災保険も同じでした。 会社の建物や設備にかける保険と、自宅にかける保険。払う人も、守るものも、税金の扱いも違います。

⚠️ そして自宅のほうは、2024年10月から保険料の基準が全国平均で13%上がっています。 更新のたびに高くなっているのは気のせいではありませんでした。

守るものが違います

会社の火災保険 自宅の火災保険
守るもの 事業用の建物、設備、商品、在庫 住んでいる家と、家財
契約者 会社 自分
保険料の扱い 会社の経費 控除はほぼない(地震保険部分だけ)
止まるもの 事業(売上が止まる) 生活(住む場所がなくなる)

火事が起きたとき、会社の保険は事業を守り、自宅の保険は生活を守ります。 どちらか片方では、もう片方は戻りません。

⚠️ 自宅で仕事をしている場合は、ここが混ざります。 自宅兼事務所なら、事業用の部分と居住用の部分をどう分けるかが、保険でも税金でも問われます。「家の保険に入っているから大丈夫」は、事業用の設備や在庫には当てはまらないことがあります。

自宅の火災保険料は、控除の対象ではありません

ここは誤解が多いところだと思いました。

国税庁の説明にこう書かれています。

平成18年の税制改正で、平成19年分から損害保険料控除が廃止されました。

火災保険料そのものは、所得控除になりません。 ⚠️ 残っているのは地震保険料控除です。

納税者が特定の損害保険契約等に係る地震等損害部分の保険料または掛金を支払った場合には、一定の金額の所得控除を受けることができます

年間の地震保険料 控除額
50,000円以下 支払金額の全額
50,000円超 一律50,000円

火災保険とセットで地震保険に入っている場合、地震保険の部分だけが控除です。⚠️ 火災保険の保険料がいくら高くても、控除は増えません。

旧長期損害保険料の経過措置もあります。平成18年12月31日までに締結した、満期返戻金のある10年以上の契約が対象で、控除額は最高15,000円。⚠️ 地震保険料控除と両方ある場合の合計は最高50,000円です。

⚠️ 会社が払っている火災保険料は、会社の経費です。個人の控除ではありません。 生命保険と同じで、会社側と個人側は完全に別です。

2024年10月から、基準が13%上がりました

自宅の火災保険料が上がっているのは、根拠のある話です。

保険料率の元になる「参考純率」を算出している損害保険料率算出機構が、2023年6月に改定を届け出ました。

住宅総合保険の参考純率について、全国平均で13.0%引き上げます。
水災に関する料率を地域のリスクに応じて5区分に細分化します。

理由も書かれています。

① 自然災害などによる保険金支払いの増加とリスク環境を踏まえた対応
② 水災料率における契約者間の保険料負担の公平化など

⚠️ 「参考純率」は、各保険会社がそのまま使うことも、修正して使うこともできる数字です。だから実際の保険料の上げ幅は会社ごとに違います。 機構自身がこう注記しています。

本資料に記載の参考純率の改定率などは、実際に保険契約者の方が契約される保険会社の保険商品の改定率などとは異なります。

そして、13.0%は全ての契約条件の平均です。都道府県、構造、築年数、補償内容によって、上げ幅は大きく変わります。

🚩 水災が「5区分」になった意味

これが今回の改定で一番効く部分だと思いました。

これまで水災の料率は全国一律に近い形でしたが、市区町村ごとのリスクで5段階に分かれました。 機構のサイトで自分の市区町村がどの等地かを調べられます。

⚠️ つまり、住んでいる場所によって、同じ家でも保険料が明確に変わるようになりました。川の近く、低い土地、過去に浸水した地域は高くなる方向です。

⚠️ これは会社の側にも効きます。 事業用の建物が水災リスクの高い地域にあれば、会社の火災保険も同じ理屈で高くなるはずです。自宅と会社、両方の等地を見ておく価値があります。

会社の側で見ておくこと

会社の火災保険は、保険料が経費になるという意味では単純です。ただ、中身の確認は別の話です。

  • 何が対象か——建物だけか、設備・什器・商品・在庫まで入っているか
  • 休業の補償があるか——火事のあと、売上が止まる期間の損失は建物の保険では出ません。**別の補償(休業損失など)**が要ります
  • 水災の等地——上に書いたとおり、事業所の場所で変わります
  • 更新月——社用車の保険で「なんとなく更新し続けていた」と書きましたが、火災保険は長期契約が多いので、更新のタイミング自体を忘れます

⚠️ とくに2つ目です。 建物が燃えても、建物の保険金で建物は直せます。でも直している間の売上は、誰も補償してくれません。 経営者保険を借入のために入ったのと同じ発想で、「止まっている間の借入返済」を誰が払うかを考えると、建物の保険だけでは足りないことが分かります。

私が確認すること

⚠️ 自宅の保険の中身は、ここに書きません。 生命保険のときと同じ線を引きます。

確認する順番だけ書きます。

  1. 会社と自宅、それぞれの水災等地(機構のサイトで市区町村を引く)
  2. 会社の火災保険に、休業の補償が入っているか
  3. 自宅の火災保険と地震保険の、それぞれの保険料(控除に効くのは地震の部分だけ)
  4. 両方の更新月

⚠️ 1番は、5分で終わります。 そして結果によって、2番以降の優先順位が変わります。 水災リスクが高い場所なら保険料の上がり方も大きいので、先に補償内容を見直す価値があります。

自宅の火災保険は、条件が同じなら保険会社ごとの差が出やすい種類の保険です。参考純率を「そのまま使うか、修正して使うか」が会社ごとに違うからです。更新の前に、一度比べてみる価値はあると思います。

比べるなら、1社ずつ見積もりを取るより、一括で複数社の見積もりを出してもらうほうが早いです。同じ建物・同じ補償で並べないと、上の「13%」の差が会社ごとにどう出ているかは分かりません。⚠️ 一括見積もりは「安いところを探す」より、同じ条件で並べて、水災の等地と休業補償の扱いを比べるために使うのがいいと思います。

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まとめ

  • 会社の火災保険は事業を守り、自宅の火災保険は生活を守る。片方では埋まらない
  • ⚠️ 自宅の火災保険料は所得控除にならない(平成19年分から廃止)。残っているのは**地震保険料控除(最高5万円)**だけ
  • 会社の火災保険料は会社の経費。個人の控除ではない
  • 🚩 2024年10月から、参考純率が全国平均13.0%引き上げ。ただし実際の上げ幅は保険会社と契約条件で違う
  • 🚩 水災の料率が市区町村ごとの5区分に。住んでいる場所・事業所の場所で保険料が変わる
  • ⚠️ 建物の保険金で建物は直せるが、直している間の売上は出ない。 会社側は休業の補償を確認する
  • 自宅兼事務所は、事業用と居住用の分け方を先に決める

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この記事について

本記事は執筆時点(2026年9月)に国税庁および損害保険料率算出機構が公表している資料にもとづいて書いています。筆者は税理士でもファイナンシャルプランナーでもなく、保険の募集人でもありません。本記事は特定の保険商品を推奨するものではありません。

⚠️ 参考純率の改定率は全ての契約条件の平均であり、実際の保険料の改定率は保険会社・都道府県・建物の構造・築年数・補償内容によって異なります。 地震保険料控除の対象や上限は契約内容によって変わります。会社の火災保険料の経理処理は、保険期間や契約形態によって異なります。

補償内容の見直しや契約については、必ず保険の取扱窓口・顧問税理士にご確認ください。 本記事は一般的な情報提供であり、個別の判断を示すものではありません。