確定申告で所得税を納めるとき、3月の申告期限の日に、金融機関の窓口やネットバンキングで払っている人は多いと思います。

国税庁の案内を調べてみると、所得税と個人事業者の消費税には「振替納税」という払い方があり、これを使うと口座からの引き落としが4月下旬になります。手数料はかかりません。申告期限は同じ3月のままで、お金が出ていく日だけが約1か月後ろにずれます。

令和8年分(2027年に申告する分)の振替日は、国税庁がすでに公表しています。所得税が2027年4月23日(金)、消費税が4月30日(金)です。

先に答えを書きます

項目 内容
振替納税とは 自分名義の預貯金口座から、国税庁が決めた振替日に自動で引き落として納める方法
使える税金 所得税及び復興特別所得税、個人事業者の消費税及び地方消費税
令和7年分(2026年申告)の振替日 所得税 2026年4月23日(木)、消費税 4月30日(木)
令和8年分(2027年申告)の振替日 所得税 2027年4月23日(金)、消費税 4月30日(金)
令和8年分の申告期限(納期限) 所得税 2027年3月15日(月)、消費税 3月31日(水)
申込み 振替依頼書をe-Taxか書面で出す。期限は納期限まで
2年目以降 一度手続すれば継続して使える。所得税と消費税は別々に手続が必要
手数料 不要
残高不足のとき 4月ではなく、3月の納期限の翌日から延滞税がかかる

使える条件がひとつあります。期限内に申告書を出していることです。

振替納税は「申告は3月、引き落としは4月」です

国税庁の振替納税手続のページでは、振替納税を「納税者ご自身名義の預貯金口座からの口座引落しにより、国税を納付する手続」と説明しています。

使える税金は、所得税及び復興特別所得税と、個人事業者の消費税及び地方消費税です。所得税は確定申告分のほか、延納分と予定納税分にも使えます。消費税は確定申告分と中間申告分が対象です。法人の税金や、源泉所得税、贈与税には使えません。

引き落とされるのは、自分で選んだ日ではなく、国税庁が決めた「振替日」です。主な国税の納期限及び振替日に、年ごとの日付が載っています。

区分 納期限 振替日
令和7年分 所得税(確定申告) 2026年3月16日(月) 2026年4月23日(木)
令和7年分 消費税(確定申告) 2026年3月31日(火) 2026年4月30日(木)
令和8年分 所得税(確定申告) 2027年3月15日(月) 2027年4月23日(金)
令和8年分 消費税(確定申告) 2027年3月31日(水) 2027年4月30日(金)

所得税の申告期限は本来3月15日ですが、2026年は日曜日だったため3月16日になりました。2027年の3月15日は月曜日なので、そのまま3月15日が期限です。個人事業者の消費税の申告期限は3月31日で、2027年は水曜日にあたります。

確定申告の納付の方法には、振替納税は申告期限までに申告書を出した場合に限って使える、とも書かれています。

申告書は3月中に出す。その上で、引き落としが4月になる。 この順番は変わりません。

1か月遅く払えることが、資金繰りでは効きます

令和8年分で見ると、所得税は3月15日に払う代わりに4月23日の引き落とし、消費税は3月31日の代わりに4月30日の引き落としです。どちらも、納期限から1か月ほど後になります。

延滞税や利子がつくわけではありません。国が定めた振替日に引き落とされるので、その日までに残高があれば期限内に納めた扱いです。

3月は、個人事業主にとってお金が出ていく時期です。所得税と消費税の確定申告が重なり、年度末の支払いもあります。納税の分だけでも4月に回せれば、3月末の残高に余裕ができます。3月に入金される売上を、納税にあてる前に一度回すこともできます。

ただし、払う額が減るわけではありません。4月23日と4月30日の1週間に、所得税と消費税の両方が続けて引き落とされます。4月下旬に向けて、2つの税金を合わせた額を口座に残しておく必要があります。

もうひとつ、所得税の延納と組み合わせる方法もあります。国税庁の確定申告Q&Aによると、納期限まで(振替納税の場合は振替日)に納める税額の2分の1以上を払えば、残りを5月31日まで延ばせます。延納期間には年1.3%の利子税がかかります。

申込みは、e-Taxでも書面でもできます

振替納税を使うには、「預貯金口座振替依頼書兼納付書送付依頼書」(振替依頼書)を出します。

  • e-Taxで出す:e-Taxソフト(WEB版)にログインし、画面に沿って入力して送信する。スマートフォンからもできる
  • 書面で出す:依頼書に記入して、所轄の税務署か、引き落としに使う金融機関に出す

期限は、使いたい税金の納期限までです。令和8年分の所得税なら2027年3月15日、消費税なら3月31日までに出せば、その年の確定申告から使えます。

注意点がいくつかあります。振替納税手続のページと確定申告Q&Aから拾うと、次のとおりです。

  • 口座は自分名義のものだけ。家族名義の口座は使えない
  • インターネット専用銀行など、一部の金融機関や店舗では使えないことがある。事前に金融機関へ確認する
  • 書面で出すときは、口座の届出印が必要になる。届出印が分からない場合は、先に金融機関へ問い合わせる
  • 領収証書は発行されない。必要なら窓口で現金で納める

一度出せば翌年も続きます。ただし税目ごとです

国税庁の広報資料には、一度振替依頼書を出せば、翌年以降の提出は不要と書かれています。毎年申し込み直す必要はありません。

所得税で申し込んでいても、消費税は別に手続が必要です。 確定申告Q&Aでは、振替納税は税目ごとに手続をする必要があり、所得税だけ手続していても消費税には使えない、と説明しています。インボイス登録などで新しく消費税の課税事業者になった人は、消費税の分を出しているか確認しておくと安心です。

引っ越して所轄の税務署が変わった場合は、転居前の振替口座を引き続き使えます。ただし変更後の税務署へ、改めて振替依頼書を出すか、申告書第一表の「振替継続希望」欄に「○」を書いて出す、といった手続が必要です。口座を変えたいときは、新しい口座で振替依頼書を出し直します。

予定納税も、同じ口座から引き落とされます

振替納税を使っていると、予定納税の第1期分と第2期分も、同じ口座から自動で引き落とされます。

ただし予定納税は、確定申告と違って振替日が後ろにずれません。令和8年分は、第1期が2026年7月31日、第2期が11月30日で、納期限と振替日が同じ日です。予定納税の仕組みや減額の申請は、個人事業主の予定納税の記事にまとめています。

予定納税だけ別の方法で払いたい場合は注意がいります。国税庁のクレジットカード納付のQ&Aでは、振替納税を使っている人がクレジットカードで払うなら、引き落とされないよう事前に所轄の税務署へ連絡するよう案内しています。

残高不足だと、3月の翌日から延滞税がかかります

振替日に残高が足りず引き落とせなかった場合は、延滞税がかかります。

延滞税は、振替日の翌日ではなく、3月の納期限の翌日から数えます。 確定申告Q&Aでは、振替日に残高不足などで引き落とせなかった場合、本税とあわせて、納期限の翌日から完納の日までの延滞税を納める必要があるとしています。令和8年分の所得税なら、2027年3月16日からの計算になります。

延滞税の割合は、タックスアンサー No.9205によると、2026年中の期間は、納期限の翌日から2か月を過ぎる日までが年2.8%、それ以降が年9.1%です。割合は毎年見直されるので、2027年の分は改めて確認が必要です。

国税庁は、振替日の前日までに残高と、同じ口座からほかの引き落とし(公共料金など)がないかを確認するよう案内しています。引き落とせなかったときは、早めに所轄の税務署へ連絡し、ダイレクト納付やネットバンキングなど別の方法で納めます。

ほかの払い方とくらべると

国税庁が案内している主な払い方を、引き落としの時期と手数料で並べました。

払い方 いつ払うか 手数料・払い方 上限・条件
振替納税 国税庁が決めた振替日(4月下旬) 不要 所得税と個人事業者の消費税だけ
ダイレクト納付 即時か、納期限までの指定日 不要 事前にe-Taxで届出が必要
クレジットカード納付 納期限までに手続 決済手数料あり 1,000万円未満、かつカードの利用可能額まで
コンビニ納付(QRコード) 納期限までに店頭で 現金で納める 30万円以下
スマホアプリ納付 納期限までに手続 決済アプリで納める 30万円以下

ダイレクト納付は、e-Taxで申告したあと、登録した口座から引き落とす方法です。指定できる納付日は納期限までなので、振替納税のように4月まで延ばすことはできません。初めて使うときは届出が必要で、書面だと使えるまで1か月程度かかるとされています。

クレジットカード納付は、納付額1万円までが99円、2万円までが198円と、1万円ごとに手数料が加わります。この刻みで計算すると、50万円を納めるなら手数料は4,950円です。手数料は国の収入にはなりません。カード代金の引き落としが納期限より後になっても、手続を納期限までに済ませていれば延滞税はかからないとされています。

確定申告の納付の方法によると、コンビニ納付とスマホアプリ納付は、納める額が30万円以下の人のための方法です。

手数料をかけずに、払う日を後ろにずらせるのは、この中では振替納税だけです。

まとめ

  • 振替納税は、所得税と個人事業者の消費税を、国税庁が決めた振替日に口座から自動で引き落とす方法。手数料は不要
  • 令和8年分の振替日は、所得税が2027年4月23日(金)、消費税が4月30日(金)
  • 令和8年分の申告期限は、所得税が2027年3月15日(月)、消費税が3月31日(水)。振替納税を使えるのは期限内に申告した場合だけ
  • 振替依頼書はe-Taxか書面で、納期限までに出す。一度出せば翌年以降も続く
  • 所得税と消費税は別々の手続。消費税の課税事業者になったら消費税の分も出す
  • 予定納税も同じ口座から引き落とされるが、振替日は納期限と同じ日
  • 残高不足で引き落とせないと、3月の納期限の翌日から延滞税がかかる
  • 手数料なしで支払いを約1か月後ろにずらせるのは振替納税だけ。4月下旬に2つの税金分の残高を残しておく

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この記事について

本記事は執筆時点(2026年10月)に国税庁が公表している情報(G-2-1 振替納税手続による納付、主な国税の納期限(法定納期限)及び振替日、確定申告期に多いお問合せ事項Q&A【税金の納付】、確定申告の納付の方法、確定申告の納付は『振替納税』、タックスアンサー No.9205 延滞税について、ダイレクト納付の手続、クレジットカード納付の手続、クレジットカード納付のQ&A)にもとづいて書いています。筆者は税理士ではありません。

文中のクレジットカード手数料の例は、国税庁が示している手数料の刻みから計算したものです。実際の額は「国税クレジットカードお支払サイト」のシミュレーションで確認できます。延滞税の割合は年ごとに変わります。消費税の課税期間の特例を使っている人や、中間申告分の振替日は、記事では触れていません。

ご自身の振替納税の手続や納付方法については、必ず顧問税理士または所轄の税務署にご確認ください。 本記事は一般的な情報提供であり、個別の判断を示すものではありません。