工場や資材置き場、店舗の防犯カメラは、業者に頼むと見積書が1枚届きます。カメラ、録画装置、配線工事、保守。金額を見て「これは経費で一度に落とせるのか」と思っても、見積書には答えが書いてありません。

経費の扱い、耐用年数、買うかリースか、映像の個人情報、補助金。この5つを、国税庁・個人情報保護委員会・自治体の資料で調べた記録です。どのメーカーが良いかの記事ではありません。

先に答えを書きます

知りたいこと 答え
経費になるか なります。10万円未満は一度に経費、20万円未満は3年で均等に、中小企業者等は40万円未満(2026年3月31日までの取得は30万円未満)を年300万円まで一度に。それ以上は減価償却
耐用年数は何年か 国税庁の耐用年数表に「防犯カメラ」という行は見当たりませんでした。数字は顧問税理士に確認
1台ずつか、一式か 「通常1単位として取引される単位」で判定するのが国税庁の通達。セットの扱いは個別に確認
リース・レンタルは レンタルは払った料金が経費。中途解約できない一定のリースは、税法上「買った」扱いになる
個人情報になるか 特定の個人を識別できる映像なら個人情報。「防犯カメラ作動中」の掲示が例として挙がっています
補助金は 調べた自治体では、対象は町内会・自治会・商店会など。1社の敷地用は対象外の例がありました

順に書きます。

経費になるかは、取得価額で分かれます

防犯カメラも、会社の設備としては他の備品と同じ扱いです。国税庁の説明(No.5403)とNo.5408を整理すると、こうなります。

  • 10万円未満——事業に使い始めた期に全額を経費
  • 20万円未満——まとめて3年間で均等に経費(一括償却資産)
  • 中小企業者等の特例——2026年4月1日以後に取得したものは40万円未満、それより前は30万円未満。年合計300万円まで、その期に全額を経費
  • それ以上——耐用年数に応じて減価償却

中小企業者等の特例は、No.5408で金額が「取得価額が40万円未満である減価償却資産」に変わり、従業員数の条件も400人以下(2026年4月1日以後の取得分)になっています。適用期限は2029年3月31日までです。個人事業主も、青色申告者ならNo.2100に同じ枠組みの特例があります。

ここで落とし穴が1つあります。30万円(40万円)未満の特例で一度に経費にした資産は、固定資産税(償却資産)の申告対象になります。 仕組みは少額資産の記事に書いたので、ここでは繰り返しません。

もう1つ、取得価額にはカメラ本体の代金だけでなく、事業に使うために直接かかった費用も含まれます(法人税法施行令第54条)。設置工事費を別にして「本体は10万円未満」と考えると、判定を間違えることがあります。

耐用年数は、公式の表に「防犯カメラ」と書かれていませんでした

ここは、調べても数字が確定しませんでした。

国税庁の主な減価償却資産の耐用年数表(器具・備品)を見ると、「光学機器、写真製作機器」の中に「カメラ、映画撮影機、映写機、望遠鏡」という行があり、「事務機器、通信機器」の中に「インターホーン、放送用設備」という行があります。けれども「防犯カメラ」「監視カメラ」という言葉はどこにもありません。国税庁の質疑応答事例でも、防犯カメラを名指しした事例は見つけられませんでした。

ネットでは販売業者のコラムが具体的な年数を書いています。ただ、出典が国税庁の表そのものではなく、どの区分に当てはめるかの解釈です。録画装置とネットワークでつながるもの、建物に組み込む配線工事を伴うものなど、構成によって区分が変わる可能性もあります。

耐用年数は、ネットの数字をそのまま使わず、見積書を見せて顧問税理士に区分を決めてもらう。 調べた結果、これが一番確かな答えでした。

1台ずつか、一式か

10万円未満かどうかを「1台」で見るのか「セット一式」で見るのかで、処理が変わります。

国税庁の法人税基本通達7-1-11は、判定の単位をこう書いています。

通常1単位として取引されるその単位、例えば、機械及び装置については1台又は1基ごとに、工具、器具及び備品については1個、1組又は1そろいごとに判定し

No.5403では、応接セットはテーブルと椅子を1組として判定する、という例が出ています。

防犯カメラの場合、カメラ4台と録画装置がセットで売られ、1台だけでは録画できない構成もあります。それを「1組」と見るのか、カメラ1台ずつと見るのかは、通達に防犯カメラの例がないので、ここで断定はしません。安く見せるために1台ずつに分けて考えるのではなく、どう取引されたか(見積書・請求書の書き方を含めて)を税理士に見てもらうのが安全です。

買う・リース・レンタルで、経費の出方が変わります

一般的な違いだけ書きます。

方法 経費の出方
買う 上の金額区分に従って、一度に経費か減価償却
レンタル 払った料金が、その期の経費
リース(中途解約できないもの等) 税法上は「売買があった」とみなされ、リース期間で償却

国税庁のNo.5702によると、税法上のリース取引は、中途解約が禁止されている(または解約時に残りのリース料のおおむね全部を払う)こと、借りる側が資産の利益を受けて費用も負担することの2つを満たすものです。所有権が移らないリースは「リース期間定額法」で償却します。

同じページには、借りる側がリース料として経費処理した金額は償却費として処理した金額に含まれる、とも書かれています。毎月のリース料を経費にしている会社が多いのはこのためですが、契約の中身で扱いが変わるので、リースを選ぶときは契約書を税理士に見せてください。

映像は、個人情報になることがあります

カメラを付けると、映るのは従業員、取引先、配送の人、通りがかりの人です。

個人情報保護委員会のQ&A(Q1-13)は、従来型の防犯カメラについてこう書いています。

個人情報取扱事業者は、カメラにより特定の個人を識別することができる画像を取得する場合、個人情報を取り扱うことになるため、利用目的をできる限り特定し、当該利用目的の範囲内でカメラ画像を利用しなければなりません。

利用目的の通知・公表については、

カメラの設置状況等から利用目的が防犯目的であることが明らかである場合には、「取得の状況からみて利用目的が明らかであると認められる場合」(法第21条第4項第4号)に当たり、利用目的の通知・公表は不要と考えられます。

そのうえで、撮られていると本人が容易に気づけない場合は気づけるようにする措置が必要で、例として「防犯カメラが作動中であることを」入口や設置場所に掲示すること、が挙がっています。外から見てカメラだと分かる場合でも、掲示するのが望ましいとされています。

防犯目的で付けたなら、映像も防犯目的の範囲で使う。 従業員の勤務態度の確認など別の使い方を考えているなら、それは別の利用目的になるので、先に整理が必要です。なお、顔識別機能付きのカメラは同じQ&Aの次の項目(Q1-14)で別の扱いになっています。

補助金は、多くが町内会・商店街向けでした

「防犯カメラ 補助金」で調べると、自治体の制度がたくさん出てきます。ただ、対象を読むと会社単独のものではありませんでした。

  • 船橋市——対象団体は「町会・自治会・商店会並びにこれらに準ずる団体」。撮影区域の2分の1以上が公道であることが条件で、「特定の施設の管理目的」のカメラは対象外。リース・レンタルも対象外
  • 広島市——対象は防犯活動を行う町内会・自治会、防犯組合、商店街等。公共空間を撮影するカメラが対象

自社の敷地や建物を守るためのカメラは、こうした「街頭防犯カメラ」の補助には当たらないことが多い。 調べた2市はそうでした。ただし制度は自治体ごとに違い、年度で変わります。自分の市区町村の防犯担当の窓口で確認してください。商店会に入っているなら、商店会として申請できる制度があるかも聞く価値があります。

業者に見積もりを頼むときに見るところ

価格の相場は書きません。台数や配線の距離で大きく変わるからです。比べるときに見る項目だけ並べます。

  1. 見積の内訳——カメラ本体、録画装置、配線・取付工事、設定費、保守が分かれているか。一式表示だと、上の経費の判定もできません
  2. 台数と画角——どこを映すのか、死角はどこか。現地を見てから台数を出しているか
  3. 録画の保存日数——何日分残るか。盗難に気づくのが週明けなら、数日分では足りないことがある
  4. 夜間の映り——照明のない資材置き場や駐車場は、夜間撮影の性能で差が出る
  5. 遠隔視聴——スマホで見られるか。その場合の通信費や月額料金はいくらか
  6. 保守契約——故障時の対応、点検の有無、月額か年額か、契約期間と解約条件
  7. 掲示物——「防犯カメラ作動中」の表示を用意してくれるか

保守やクラウド録画の月額は、本体の経費とは別に毎月かかります。見積を比べるときは、初期費用だけでなく、数年分の合計で比べると判断しやすくなります。

付き合いのある設置業者がいない場合は、業者比較サービスを使う方法もあります。EMEAO!は、法人・個人事業主を対象にした業者比較サービスで、簡単2分で問い合わせができ、専門スタッフがヒアリングしたうえで、複数の業者を比較・見積りできます。

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まとめ

  • 防犯カメラは経費になる。10万円未満は一度に、20万円未満は3年で均等に、中小企業者等は40万円未満(2026年3月31日までの取得は30万円未満)を年300万円まで一度に
  • 特例で一度に経費にした分は、固定資産税(償却資産)の申告対象になる
  • 取得価額には、事業に使うために直接かかった工事費なども含まれる
  • 国税庁の耐用年数表に「防犯カメラ」の行はない。区分と年数は顧問税理士に確認
  • 1台ずつか一式かは「通常1単位として取引される単位」で判定。セットの扱いは個別に確認
  • レンタルは払った料金が経費。中途解約できない一定のリースは税法上の売買扱い
  • 個人を識別できる映像は個人情報。防犯目的の範囲で使い、作動中の掲示をする
  • 補助金は町内会・商店会向けが多く、1社の敷地用は対象外の例がある。自分の自治体で確認

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この記事について

本記事は執筆時点(2026年10月)に国税庁 No.5403・No.5408・No.2100・No.5702・法人税基本通達7-1-11・耐用年数表、個人情報保護委員会 Q&A、船橋市・広島市の公表資料にもとづいて書いています。

筆者は税理士ではありません。本記事は調べた内容の整理であり、特定の業者や製品を筆者が検証したものではありません。耐用年数・資産の区分・リースの経理処理は顧問税理士に、個人情報の扱いは個人情報保護委員会の資料に、補助金はお住まい・事業所の自治体にご確認ください。本記事には広告(PR)を含みます。