情報漏えいのニュースを、最近よく見かけます。
うちの会社のPCは、セキュリティソフトを買っていません。Windowsに最初から入っている機能(Microsoft Defender)のままです。
このままでいいのか、気になって調べました。調べたのは2つです。情報漏えいは本当に増えているのか、何が原因なのか。それから、有料ソフトを買うといくらかかって、更新のときにいくらになるのか。
先に答えを書きます
| 調べたこと | 分かったこと |
|---|---|
| 漏えいは増えているか | 2026年4〜6月の報告は6,101件。前の年度の3か月あたり(4,854件)より多い |
| 何が原因か | 一番多いのは医療などの情報の誤交付・誤送付。不正アクセスなど「不正の目的」のものは約4分の1 |
| 会社が狙われる攻撃 | 国の機関(IPA)の2026年版の1位はランサム攻撃。委託先経由や、ソフトの穴を突く攻撃も上位 |
| Windows標準で足りるか | ウイルス対策の最低線は満たせる。ただしソフトでは防げない漏えいが多い |
| 有料ソフトの更新は高いのか | ESETとウイルスバスターは、更新の値段と新しく買う値段が同じだった。自動更新にすると約1割安い |
更新の案内が来たときに「他社に乗り換えれば安くなるのでは」と思っていましたが、公式の値段で見る限り、乗り換えても安くはなりませんでした。
情報漏えいは、本当に増えているのか
個人情報保護委員会が、漏えいの報告件数を3か月ごとに公表しています。2026年9月2日の公表資料です。
| 期間 | 漏えい等報告の処理件数(個人情報) |
|---|---|
| 2025年4〜6月 | 5,652件 |
| 2025年7〜9月 | 4,528件 |
| 2025年10〜12月 | 4,635件 |
| 2026年1〜3月 | 4,602件 |
| 2026年4〜6月 | 6,101件 |
| (参考)2025年度の3か月あたり | 4,854件 |
直近の3か月は、前の年度の平均より2割以上多くなっています。「最近多い」という感覚は、数字の上でも外れていませんでした。
ただ、中身を見ると印象が変わります。同じ資料では、報告の理由を4つに分けています(1件が複数に当てはまることがあります)。
| 報告の理由 | 2026年4〜6月 |
|---|---|
| 要配慮個人情報(病歴など)を含む | 3,196件(58.6%) |
| 不正の目的で行われたおそれがある | 1,450件(26.6%) |
| 財産的な被害が生じるおそれがある | 1,093件(20.1%) |
| 1,000人を超える | 246件(4.5%) |
資料には、要配慮個人情報の漏えいが引き続き多く、病院や薬局に限らず、損害保険業者における誤交付も目立つと書かれています。不正アクセスや、クレジットカードの誤送付も多く見られるそうです。
つまり、漏えいの多くは、書類やメールを違う相手に渡してしまう「人のミス」です。ウイルス対策ソフトで防げるのは、不正アクセスなどの一部だけということになります。
会社が狙われる攻撃は何か
IPA(情報処理推進機構)が毎年出している「情報セキュリティ10大脅威 2026」の組織向けの順位です(2026年1月29日公開)。
| 順位 | 脅威 |
|---|---|
| 1位 | ランサム攻撃による被害 |
| 2位 | サプライチェーンや委託先を狙った攻撃 |
| 3位 | AIの利用をめぐるサイバーリスク |
| 4位 | システムの脆弱性を悪用した攻撃 |
| 5位 | 機密情報を狙った標的型攻撃 |
| 6位 | 地政学的リスクに起因するサイバー攻撃(情報戦を含む) |
| 7位 | 内部不正による情報漏えい等 |
| 8位 | リモートワーク等の環境や仕組みを狙った攻撃 |
| 9位 | DDoS攻撃(分散型サービス妨害攻撃) |
| 10位 | ビジネスメール詐欺 |
小さな会社に関係が深いのは、2位と4位だと思います。
2位は、取引先や委託先が入口になる攻撃です。大きな会社を直接狙うより、守りの薄い取引先から入る、というものです。小さな会社は「狙われる側」というより「入口にされる側」になりえます。
4位は、ソフトの穴(脆弱性)を突く攻撃です。うちのホームページのPHPの件がまさにこれでした。Windows Updateやプラグインの更新を止めないことが、ここの対策になります。
Windows標準で、どこまで足りるのか
前の記事で詳しく書きましたが、要点だけ書きます。
IPAの「中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン」にある「情報セキュリティ6か条」では、ウイルス対策ソフトの導入は2番目です。1番目はOSやソフトを最新にすること、5番目はバックアップです。
Windowsに入っているMicrosoft Defenderは、リアルタイムで監視し、定義ファイルもWindows Updateで更新されます。「ウイルス対策ソフトを入れて、最新にしておく」という条件は、標準機能でも満たせます。
有料ソフトが足しているのは、主に詐欺サイトの遮断、スマホやMacもまとめて守ること、困ったときのサポート窓口です。
有料ソフトの値段と、更新の値段
ここからが、今回いちばん知りたかったところです。各社の公式サイトに載っている値段(税込)です。
ESET HOME セキュリティ
キヤノンの公式の価格ページでは、新規購入と更新(有効期限の延長)が別の表になっています。並べると、こうなります。
| エッセンシャル(ダウンロード版) | 新規購入 1年 | 更新 1年 | 更新 1年自動延長 | 3年(新規・更新とも) |
|---|---|---|---|---|
| 1台 | 4,750円 | 4,750円 | 4,275円 | 8,070円 |
| 3台 | 6,050円 | 6,050円 | 5,445円 | 10,291円 |
| 5台 | 7,350円 | 7,350円 | 6,615円 | 12,500円 |
上位版のプレミアムも同じ形で、3台1年は新規・更新とも7,240円、自動延長は6,516円です。
ESETは2025年10月22日に価格を改定していて、自動延長の価格は2026年1月15日から適用されています。
ウイルスバスター クラウド(3台)
トレンドマイクロの製品ページと、2026年3月2日の価格改定のお知らせからです。
| 新規購入 | 更新(自動更新なし) | 更新(自動更新あり) | |
|---|---|---|---|
| 1年 | 7,480円 | 7,480円 | 6,490円 |
| 3年 | 17,930円 | 17,930円 | 14,960円 |
自動更新なしの更新は、新規購入と同じ値段です。自動更新ありにすると、新規購入より安くなります。更新が新規より高い、ということはありませんでした。
このお知らせでは、更新の値段そのものが上がっています。自動更新ありの1年は5,174円から6,490円に、自動更新なしの1年は5,830円から7,480円になりました。「去年より高い」と感じたら、それは更新だからではなく、値上げのせいかもしれません。
ノートン
ノートンは、公式サイトで更新時の価格を確認できませんでした。購入画面や更新案内のメールで確かめる必要があります。
値段から言えること
- ESETとウイルスバスターは、更新しても、新しく買い直しても、通常価格は同じ
- 自動更新(自動延長)にすると、1年あたり約1割安い
- 3年版は、1年版を3回買うより安い
- 公式の値段はキャンペーン中は変わる。表は通常価格
更新の案内が来たときに、値段だけを理由に乗り換えるのは、効果が薄いことになります。乗り換えるなら、値段ではなく、機能やサポートで選ぶ話です。
自動更新は安くなりますが、登録したクレジットカードから毎年引き落とされます。使わなくなったPCの分まで払い続けないように、何台分を契約しているかは年に1回見ておいたほうがよさそうです。
うちがどうするか
いまのところ、有料ソフトは買わずに、Windows標準のままでいくつもりです。
その代わり、統計とIPAの順位を見て、確認することを決めました。
- 全部のPCで、Defenderのリアルタイム保護がオンになっているか
- 全部のPCで、Windows Updateが止まっていないか
- バックアップが取れているか
- メールの宛先を、送る前に見直す習慣があるか
4番は、ソフトではどうにもなりません。漏えいの統計で一番多かったのは、ここでした。
有料ソフトを足すかどうかは、詐欺サイトの遮断や、スマホもまとめて守りたいかどうかで決まると思います。調べた範囲で、台数が少ない会社が見るなら、1台から5台、月額から3年まで刻みが細かいESETから見るのが分かりやすいと感じました。新規購入と更新の値段が同じなので、買うときに損得を気にしなくていいのも単純です。
ESET HOME セキュリティを公式で見る(1台から、月額から選べます)
まとめ
- 2026年4〜6月の漏えい等報告は6,101件で、前の年度の3か月あたり4,854件より多い
- ただし理由で一番多いのは、病歴などの情報の誤交付・誤送付。不正の目的のものは約4分の1
- IPAの10大脅威2026(組織)は、1位ランサム攻撃、2位委託先を狙った攻撃、4位脆弱性を悪用した攻撃
- Windows標準のDefenderで、ウイルス対策の最低線は満たせる
- ESETとウイルスバスターは、更新と新規購入の通常価格が同じ。自動更新で約1割安くなる
- 「去年より高い」のは、更新だからではなく値上げの可能性がある
- 一番多い漏えいはソフトでは防げない。宛先の確認と、更新を止めないことが先
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この記事について
本記事は執筆時点(2026年10月)に、個人情報保護委員会「令和8年度第1四半期における漏えい等報告の処理状況」(2026年9月2日)、IPA「情報セキュリティ10大脅威 2026」、キヤノンITソリューションズ(ESET HOME セキュリティ)およびトレンドマイクロ(ウイルスバスター)の公式サイトに掲載されている内容にもとづいて書いています。価格は税込の通常価格で、キャンペーン等が適用された場合の価格とは異なります。価格は改定されることがあるため、購入・更新の前に必ず各社の公式サイトでご確認ください。
筆者はセキュリティの専門家ではありません。自社のセキュリティ対策については、必要に応じて専門家にご相談ください。
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