うちの会社のメールは、長いあいだレンタルサーバーのメール機能で動いていました。会社のドメインのアドレスで届くメールを、サーバー会社が受け取っていた形です。
2026年10月7日から8日にかけて、その受け取り先をGoogle Workspaceに切り替えました。
私はエンジニアではありません。社内にもいません。この記事は、そういう会社の社長が、メールの引っ越しでやったことと、途中で気づいたことの記録です。
先に答えを書きます
やったことを、順番に表にしました。
| やったこと | なぜ | 設定した場所 |
|---|---|---|
| Googleの所有権確認用のTXTレコードを追加 | このドメインの持ち主だとGoogleに示すため | サーバー会社のDNS |
| 会社のアドレスを別名(エイリアス)として追加 | 会社のアドレス宛てのメールを、今の受信箱で受け取るため | Workspaceの管理画面 |
| MXレコードをGoogleに変更し、「ローカル配送」をOFF | メールの届け先をGoogleに切り替えるため | サーバー会社のDNSとメール設定 |
| SPFレコードにGoogleを追加(サーバー会社の分と併記) | Googleから送ったメールを、正しい送信元として扱ってもらうため | サーバー会社のDNS |
| DKIM(2048ビット)を作成し、DNSに追加して「認証を開始」 | 送ったメールに電子署名を付けるため | Workspaceの管理画面とサーバー会社のDNS |
表の5つのうち、4つはサーバー会社の管理画面にあるDNSという設定です。戻し方は、後半に書きます。
作業は2日で終わりました。いちばん大きかったのは、作業の前に分かったことと、作業のあとに気づいたことでした。 前者は普段のGmailの正体、後者は送信の設定です。
切り替える前の、うちのメールの状態
会社のアドレスのメールは、ConoHa WINGというレンタルサーバーのメール機能で受け取っていました。
切り替えの方法として、最初は「Gmailから転送する」形を考えていました。ところが、調べていくうちに前提が変わりました。
調べたら、普段のGmailがWorkspaceそのものだった
普段使っているGmailのアカウントを確かめたところ、2013年に作ったGoogle Workspaceの管理者アカウントと、同じアカウントでした。受信箱も同じです。
昔、もともと使っていたGmailのアカウントが、Workspaceのアカウントになっていたようです。私はそれを把握していませんでした。
メールの履歴も、ラベルも、ドライブのファイルも、そのまま同じ場所にありました。
ということは、会社のアドレスを自分のアカウントの別名として足せば、今の受信箱でそのまま受け取れます。当初考えていた転送の作業は、要らなくなりました。
MX・SPF・DKIMを平たく言うと
作業の中に、聞き慣れない言葉が3つ出てきます。Googleの公式ヘルプをもとに、平たく書くとこうなります。
| 言葉 | ひとことで言うと |
|---|---|
| MXレコード | メールの届け先。送る側のコンピューターが、この会社宛てのメールをどこへ届けるかを調べるときに見る設定です |
| SPFレコード | 送信元として許可するサーバーの一覧。ここに載っていないサーバーから届いたメールは、怪しいと扱われやすくなります |
| DKIM | メールに付ける電子署名。受け取った側が、なりすましでないかを確かめられます |
どれも、サーバー会社の管理画面にある「DNS」という設定に書き込みます。DNSは、ドメインについての案内板のようなものです。
GoogleのMXの値は、Google Workspace の MX レコードを設定するに、smtp.google.com、優先度1と書かれています。同じページには、新しい設定がインターネット全体に行き渡るまで、最長で72時間ほどかかることがあるとも書かれています。
SPFはSPF を設定する、DKIMはDKIM を設定するに手順があります。DKIMのページでは、DNSが対応していれば2048ビットの鍵を選ぶよう案内されています。
やった手順
実際にやった順番です。
- サーバー会社のDNSに、Googleのドメイン所有権確認用のTXTレコードを追加した
- Workspaceの管理画面で、会社のアドレスを別名(エイリアス)として追加した
- MXレコードをGoogle(smtp.google.com、優先度1)に変更した。あわせて、サーバー会社側のメールの「ローカル配送」をOFFにした
- SPFレコードにGoogleを追加した。サーバー会社の分は消さずに、併記した
- DKIM(2048ビット)をWorkspaceで作成し、DNSに追加してから「認証を開始」を押した
「ローカル配送」は、サーバー会社の中でメールを受け取るための設定です。
作業はAI(Claude)に手伝ってもらいながら進めました。サーバー会社の管理画面の一部の確認ボタンは、自分で押しました。
届いたかの確認と、戻し方
切り替えたあと、外部のアドレスから会社のアドレスにメールを送って、受信できることを確かめました。
戻し方も決めてから進めています。MXを元の値に戻し、ローカル配送をONにすれば、元の形に戻ります。
そのため、サーバー会社側のメールアドレスは、まだ消していません。 安定するまでは、戻れる状態を残しておくことにしました。
落とし穴は「送信」の設定でした
受け取りの設定が終わってから、1つ気づいたことがあります。
Gmailには「他のアドレスから送信」という設定があります。会社のアドレスを差出人にしてメールを送るための設定です。
うちの場合、この送信が、サーバー会社のメールの仕組み(SMTP)を通って出ていく設定になっていました。
受け取り先をGoogleに変えても、送信の経路は変わっていなかったわけです。整理すると、こうなっていました。
| 経路 | 状態 | |
|---|---|---|
| 受け取り | MXレコード | Googleに切り替え済み |
| 送信 | Gmailの「他のアドレスから送信」 | サーバー会社のSMTP経由のまま |
受け取りの設定だけを見ていると、送信も一緒に移ったように思えてしまいます。実際には、2つは別々の設定でした。この状態でサーバー会社側のメールアドレスを消すと、会社のアドレスの名前でメールを送れなくなります。
サーバー会社側のアドレスを消すのは、送信の経路を切り替えてからです。受け取りと送信は、別々に確かめる必要がありました。
SPFにサーバー会社の分も併記してあるのは、この点にも関わります。送信がサーバー会社を通っている間は、サーバー会社のサーバーも送信元の一覧に載っている必要があります。
なお、Gmailのメール送信者のガイドラインでは、すべての送信者にSPFかDKIMの設定を求めています。1日に5,000件以上送る送信者には、SPFとDKIMに加えてDMARCという設定も求められています。
もう一つ気づいたこと:支払いが止まると影響が大きい
今回の切り替えで、個人で使ってきたGmailの全部の履歴が、Workspaceの契約の上に乗った形になりました。
ということは、支払いが止まったときの影響が大きいということです。会社のメールだけでなく、これまでの履歴も同じ契約の上にあります。
そこで、支払い方法としてカードが登録されていることを確かめました。Workspaceは無料の試用期間が終わると有料になります。
料金はユーザー数とプランで変わります。最新の金額はGoogle Workspace の料金ページで確認できます。2026年10月時点では、14日間の無料試用があると書かれていました。
あわせて、契約していたMicrosoft 365は、継続請求をオフにしました。2026年12月に失効する予定です。
やる前に確認すること
同じような切り替えを考えている会社向けに、うちで実際に確かめたことをまとめます。どれも、DNSの値を書き換える前に確かめられることです。
- 今のアカウントの状態:普段使っているGmailが、すでにWorkspaceのアカウントになっていないか。うちはなっていて、転送が要らなくなりました
- 送信の経路:Gmailの「他のアドレスから送信」が、どこを通って送る設定になっているか。サーバー会社のアドレスを消す前に見ておく必要があります
- 戻し方:MXとローカル配送を、どの画面でどう戻すか。元の値を控えておきます
- 支払い:試用期間のあとに有料になること。支払い方法が登録されているか
- DNSを触れる人:サーバー会社の管理画面に入れて、DNSの設定を変えられる人が誰か。うちは、一部の確認ボタンを自分で押しました
まとめ
- 会社のメールの受け取り先を、レンタルサーバーからGoogle Workspaceに切り替えた。作業は2026年10月7日から8日
- 調べたら、普段のGmailが2013年に作ったWorkspaceの管理者アカウントと同じだった。転送の作業は要らなくなった
- 手順は、所有権確認のTXT、別名の追加、MXの変更とローカル配送のOFF、SPFへの追加、DKIMの作成と認証の5つ
- 外部から送って受信を確かめた。MXを戻してローカル配送をONにすれば元に戻るので、サーバー会社側のアドレスは残している
- 落とし穴は送信だった。「他のアドレスから送信」がサーバー会社のSMTP経由のままだった
- 個人の履歴もWorkspaceの契約の上に乗ったので、支払い方法の登録を確かめた
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この記事について
筆者はエンジニアではありません。本記事は、2026年10月時点の筆者の作業記録と、Googleの公式ヘルプ(MX レコード、SPF、DKIM、メール送信者のガイドライン)にもとづいて書いています。
DNSの設定を誤ると、メールが届かなくなることがあります。作業の前に現在の設定を控え、不明な点はご契約のサーバー会社や専門家にご相談ください。